会社設立登記の必要書類は11種類!会社設立の手順や疑問をすべて解説

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法人登記に必要な書類と手順

会社の設立登記をする際は、申請時の必要書類が11種類あります。申請書類や手続きに不備があると、予定していた日に会社を設立することができないなどの問題が発生する可能性もあるため、書類の準備は事前に済ませることが重要です。本記事では、会社設立登記に必要な書類や、申請手続きを行う際の手順、会社設立登記に関する疑問点を解説します。会社設立登記全体の流れと必要書類を理解し、スムーズに手続きを完了させましょう。

  1. 株式会社を設立する際の流れ
  2. 法人設立登記申請に必要な書類11種
  3. 法人登記申請手続きに関する疑問
  4. 法人登記はコワーキングスペースでも可能!
  5. 法人登記は必要書類をそろえて計画的に進めよう

株式会社を設立する際の流れ

株式会社や合同会社を設立する際には、まず設立登記の申請を行います。申請時の必要書類は数多くあるため、時間と労力がかかります。あらかじめ手続き全体の流れと必要書類を把握し、申請手続きをスムーズに行う際の参考にしてみてください。

まずは、会社設立の流れをご紹介します。

①発起人と会社概要を決定する

会社設立の手続きは、発起人が中心となって行います。株式会社設立の方法は「発起設立」と「募集設立」の2種類あり、通常は「発起設立」で設立することになります。「発起設立」とは、資金を出した全員が発起人となる設立方法です。

発起設立で株式会社を設立する場合、まずは、どのような会社にするのかを決める必要があります。主に、定款を作成するために必要な、以下の項目について定めておくとよいでしょう。

●株式会社設立時に決めておく項目例

・商号(会社名)
・本店所在地
・事業目的
・資本金
・役員の氏名と任期など

②定款を作成する

定款とは、会社の基本的なルールをまとめたものです。決まった書式はありませんが、必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」と、記載しておかなければ有効にならない「相対的記載事項」、記載するかどうかが任意の「任意的記載事項」があります。「絶対的記載事項」は必ず記載していないと定款自体が無効となってしまうため、注意が必要です。

●絶対的記載事項の一覧

1.目的
2.商号(会社の名称)
3.本店の所在地
4.設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
5.発起人の氏名又は名称(法人の場合)と住所
6.発行可能株式総数

株式会社設立の場合、取締役が一人なのか、取締役会があるのかで、作成方法が異なります。法務局のホームページでは、書き方の例が添付されているテンプレートの取得ができるので、参考にしてみてください。

③定款の認証手続きをする

定款を作成したら、次は公証役場で公証人の認証を受ける必要があります。定款の認証を受ける方法は、完成した定款を印刷して公証役場に持参する方法と、パソコンで作成した定款に電子署名を付し、PDFファイル化した定款を公証役場にオンライン送信して認証をしてもらう方法があります。なお、合同会社設立の場合は不要です。

④資本金を払込む

定款の認証手続きが完了したら、発起人は設立登記の申請日までに資本金を払い込みます。この段階では会社の銀行口座はまだ開設できないため、発起人の代表者個人の銀行口座に振り込みましょう。

資本金の振り込み後は、資本金払込の証明書類として必要になるため、通帳の「記帳欄」「表紙」「表紙の裏にある住所や名前などが記載されている個人情報欄」の3カ所をコピーしておきます。

⑤会社設立登記の申請手続きをする

会社設立の手続きは、法務局に設立登記の申請を行うことで完了します。登記申請書を作成し、添付書類と合わせて法務局の窓口に提出します。申請方法は3つあるため、進めやすい方法を選びましょう。

●会社設立登記の申請手続き方法

1.法務局の窓口に直接提出
2.本店所在地を管轄する法務局に郵送
3.インターネットによるオンライン提出

申請手続き後、補正が必要な場合は法務局から連絡が入ります。そのため、郵送で申請をした場合には申請書に必ず電話番号などの連絡先を記載しましょう。補正は窓口でも郵送でも可能です。

補正がない場合、申請から1週間前後で登記が完了します。

法人設立登記申請に必要な書類11種

法人設立登記の流れがわかったら、法務局へ登記するための必要書類を揃えましょう。必要な書類は11種類あります。なお、各書類のサイズはすべてA4です。

●法人設立登記申請の必要書類

①設立登記申請書
②登録免許税貼付台紙
③定款
④発起人決定書
⑤取締役就任承諾書
⑥代表取締役就任承諾書
⑦監査役就任承諾書
⑧取締役の印鑑証明書
⑨資本金払込の証明書類
⑩印鑑届出書
⑪登記すべき事項を記録したCD-Rなど

必要書類①設立登記申請書

登記申請書とは、会社を設立することを法務局に伝えるための書類です。記載する内容は以下の通りです。

・商号(会社の名称)
・本店の所在地
・登録免許税
・資本金の額
・添付書類の一覧

法務局のホームページでは、会社の形態別に無料で書類のPDFをダウンロードすることが可能です。会社の形態によって記載する事項などが異なるため、記載例を忘れずに確認し、作成しましょう。

必要書類②登録免許税貼付台紙

登録免許税納付用台紙とは、登録免許税分の収入印紙を貼付した用紙のことです。用紙はインターネット上にさまざまあるため、ダウンロードして利用することも可能です。必要な登録免許税分の収入印紙を購入し、用紙に貼付して提出しましょう。

なお、登録免許税は株式会社の場合「15万円」、合同会社の場合「6万円」と最低金額が定められています算出方法は「資本金×0.7%」で、資本金の大小によってかかる費用は異なります

必要書類③定款

公証人による承認済みの定款を添付します。紙の定款の場合は定款の謄本、電子定款の場合はCD-Rなどの磁気ディスクを提出します。

必要書類④発起人決定書

定款で本店の所在地を市区町村の記載までに留めている場合、本店の詳細な所在地を発起人の過半数の一致で決定したという証明が必要になります。そのため、発起人全員が押印した発起人決定書の添付が必要です。

また、定款で「代表取締役を株主総会で選定する」とした場合にも、発起人決定書が代表取締役が誰になるのかを明らかにするという役割となります。

必要書類⑤取締役就任承諾書

「取締役に就任したことを承諾した」ことを証明する書類です。以下の6項目の記載が必須になりますので、忘れずに確認しましょう。

1.日付
2.取締役の住所
3.取締役の氏名
4.会社名
5.取締役の押印
6.取締役の押印(捨印)

必要書類⑥代表取締役就任承諾書

取締役と代表取締役の役割が分かれている場合に必要となる書類です。取締役の1名が、代表取締役と兼務をしている場合は必要ありません。記載の仕方は、「⑤取締役就任承諾書」とほぼ同じなので、作成する場合は同様のフォーマットで作成します。

必要書類⑦監査役就任承諾書

監査役を設置する場合には監査役就任承諾書が必要となります。こちらも記載の仕方は、「⑤取締役就任承諾書」「⑥代表取締役就任承諾書」と同様です。

必要書類⑧取締役の印鑑証明書

定款の認証を受ける際に取得したものと同じ証明書です。取締役会を設置していない会社の場合、各取締役の就任承諾書に取締役個人の実印を押したうえで印鑑証明書を添付する必要があります。一方、取締役会を設置している会社の場合には、代表取締役の就任承諾書にのみ実印を押せばよいので、必要なのは代表取締役の印鑑証明書のみとなります。

印鑑証明書は、発行から3カ月以内のものが必要となるので、期限が切れていないか確認し、提出しましょう。

必要書類⑨資本金払込の証明書類

資本金を振り込みした後に行った通帳の記帳欄、表紙、個人情報欄をコピーしておいたものに表紙をつけて製本します。その際、各見開きページの綴り部分に契印を忘れずにしましょう。

必要書類⑩印鑑届出書

法人実印の届け出をするために必要な書類です。法務局のホームページからPDFを無料でダウンロードし、記載例に沿って記入します。

必要書類⑪登記すべき事項を記録したCD-Rなど

申請する書類をより効率的に作成するには、PCを使用することが有効です。登記すべき事項をCD-Rなどの磁気ディスクに記載し提出することができます。

また、CD-Rなどの磁気ディスクで提出する代わりに、文字を読み取るOCR専用の登記申請用紙を法務局の窓口で入手し、登記すべき事項を記載して登記申請書に添付して提出することも可能です。作成の手順や記載方法については法務省のホームページで確認できますので、参考にしてみてください。

11種類の必要書類すべてが準備できたら、①から⑨の書類を順番にホッチキスで綴じます。「⑩印鑑届出書」は、綴じずにクリップなどでまとめておきます。最後に、「①登記申請書」と「②登録免許納付用台紙」に会社の実印で契印し、書類の準備は完了です。

法人登記申請手続きに関する疑問

会社設立登記の申請は複雑なため、さまざまな疑問が浮かぶことがあるでしょう。ここでは、法人登記申請手続きに関してよくある疑問をご紹介します。

登記申請手続きは誰がやる?

会社の登記においては、基本的には会社を代表する者が登記の申請を行います。代表者が申請できない場合などは代理人が申請することも認められており、その場合は委任状が必要です。

申請書に不備があった場合はどうする?

申請後に提出された申請書や添付書面において、「必要な添付書面が不足している」「申請書や添付書面に記載した内容に誤りがある」といった不備がわかった場合、法務局から申請人またはその代理人に連絡がきます。連絡を受けた申請人またはその代理人は、その連絡に従って補正する必要があります。補正は窓口でも郵送でも行うことができます。

会社の設立年月日はいつ?

会社は設立の登記を行うことで成立します。したがって、会社の設立年月日は「法務局が当該会社の設立登記申請を受け付けた日」となります。

登記した情報を変更したいときはどうする?

法人登記後、何らかの理由から登記をした情報を変更する場合もあるでしょう。登記情報を変更する際の申請については以下の通りです。

会社等法人の本店の住所変更

法人の本店である事業所を移転する場合、移転日から2週間以内に法務局で住所変更の登記を申請を行います。また、移転後に本店所在地の市区町村が変わる場合は定款の変更も必要となるため、定款変更の申請手続きも行いましょう。

会社等法人の支店の住所変更

法人の支店を移転する場合にも、支店移転日から2週間以内に本店所在地のほか、旧支店所在地、新支店所在地において変更申請を行う必要があります。

本店と同じ管轄内で支店を移転する場合は、本店所在地を管轄する法務局に登記申請します。その他、本店と管轄を同じくする支店を他の管轄に移転する場合などは、「本店所在地の法務局」と、「旧・新支店所在地の法務局」宛ての分を一括して1通の申請書を作成し、本店所在地の法務局に申請します。

会社の代表者の住所変更

会社の代表取締役が引っ越しで住所を変更した場合、法務局で代表取締役の住所変更登記の申請を行う必要があります。代表取締役の住所は登記事項のため、変更登記が必要ですが、取締役や監査役の住所は登記事項ではないので、変更登記の必要はありません。

法人登記はコワーキングスペースでも可能!

さまざまな人が共に働くコワーキングスペースでも、法人登記ができる施設があります。スタートアップ企業など、起業のための初期費用を安価に抑えたいときは、コワーキングスペースを本店所在地として法人登記を行うこともおすすめです。

コワーキングスペースでの法人登記については、以下の記事で詳しく説明しています。
(参考:「コワーキングでは法人登記・住所利用が可能。メリット・デメリットと向いている人を解説」)

法人登記は必要書類をそろえて計画的に進めよう

会社設立登記の際にはたくさんの必要書類を準備しなければいけません。また、登記申請書の記載には定められたルールがあり、手続きも複雑です。必要書類の確認や申請手順などを事前にしっかりと確認し、計画的に法人登記を行いましょう。