コワーキングスペースとシェアオフィスの違い。メリット・デメリットや利用に向いている人とは

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コワーキングスペースやシェアオフィスを活用したテレワークの導入など、柔軟な働き方を推進する企業が増えています。一方で、この2つ施設の違いはどのような点なのか気になる方もいるのではないでしょうか。本記事では、コワーキングスペースとシェアオフィスの違いや、それぞれのメリット・デメリットからどのような人に向いている施設なのかを解説します。

  1. コワーキングスペースとシェアオフィスの違い
  2. コワーキングスペースとは
  3. シェアオフィスとは
  4. 各オフィスに向いている人・企業
  5. その他の似た名前のオフィス
  6. コワーキングスペースとシェアオフィスの違いを理解して仕事場所を選ぼう

コワーキングスペースとシェアオフィスの違い

「コワーキングスペース」と「シェアオフィス」は、他の利用者との交流の有無や頻度が違います。一般的に、コワーキングスペースは自由に席を選んで仕事をするフリーアドレス制を採用しているケースが多いため、利用者同士の交流がしやすい傾向にあります。一方、シェアオフィスは共有スペース以外にも、施設内にある個室を使用できるのが一般的です。しかし、最近ではどちらも同じような運営方法の場合もあり、明確な線引きが難しい場合もあるでしょう。

コワーキングスペースとは

コワーキングスペース(Coworking Space)とは、「Co(共同の)」と「work(働く)」をもとにした造語で、さまざまな人が「共に働く」スペースです。ここではコワーキングスペースの特徴やメリット・デメリットをご紹介します。

特徴・メリット

コワーキングスペースの一番の特徴は、コミュニティを重視していることです。そのため、仕事はもちろん、ミーティングやワークショップといったイベントを開催するときにも利用することが可能です。他の利用者との交流がしやすいため、これまで接点のない人たちとのコミュニティ形成もできるでしょう。さまざまな年齢や職種の人が集まるイベントを通じ、意見交換などができれば、新しいアイデアの創出により自分の仕事の幅が広がることもあります。

また、Wi-Fiや電源、コピー機など、仕事をするのに必要なインフラや備品が充実しているため、整備された環境で手軽に仕事ができます。それに加え、コワーキングスペースによっては、カフェを併設している場合もあります。仕事の場にリラックス空間があることもメリットの一つでしょう。

デメリット

交流を目的とした利用者が多いため、静かな環境の中で仕事をしたい人にとっては、他の利用者同士の話し声が聞こえ、集中しにくいと感じることもあるかもしれません。また、広いオープンスペースを多くの人で利用するため、コワーキングスペースによっては、1人が利用できる作業スペースが狭いこともあります。広いスペースを必要とする作業には向かない場合もあるでしょう。

シェアオフィスとは

シェアオフィスは、仕事場を複数の企業や人でシェアする施設のことです。仕事をすることを前提としたシェアオフィスにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

特徴・メリット

シェアオフィスは、交流を目的とした施設ではないため、コワーキングスペースと比べると仕事に集中しやすいのが特徴です。施設によっては共有スペースの他、個室、会議室が完備された場所もあります。そのため、一人で静かに仕事をしたいときや、クライアントとの会議、他の利用者とコミュニケーションを取りたいときなどで使い分けることもできるでしょう。

また、一般的な賃貸オフィスと比較すると低コストで利用できる点もメリットです。事務所などを借りると、敷金や礼金などを含む初期費用や、賃料や保守費用などの料金も必要です。しかし、シェアオフィスはパソコンなどを持ち込むだけで仕事ができるため、利用者の手間も抑えられます。

デメリット

コワーキングスペースと同様に、シェアオフィスの共有スペースで仕事をする場合は、他の利用者の声が聞こえ、集中しにくい場合もあるでしょう。また、個室以外の場所では機密情報の取り扱いにも注意が必要です。場所によって会議室、個室の有無があるので必要な方は事前に確認しておくと良さそうです。仕事の内容に応じてどのようなスペースを利用するかを検討しましょう。

各オフィスに向いている人・企業

似ているようで異なった点もあるコワーキングスペースとシェアオフィスですが、それぞれ、どのような人や企業が向いているのでしょうか。

コワーキングスペースに向いている人・企業

コワーキングスペースは、フリーランスなどが多く利用しています。コワーキングスペースの住所で法人登記し、職場として利用すれば、低コストで事業を始めることもできます。新しい事業の立ち上げに協力者を募ったり、ビジネスでの新しいアイデアを求めたりしたい人に適しています。例えば、職種がまったく異なる人と、交流イベントなどを通じて情報共有ができれば、自分とは違った視点や考えを取り入れることもできるでしょう。さまざまなバックグラウンドを持つ人たちとのコミュニティ形成を希望する人にもおすすめです。

シェアオフィスに向いている人・企業

シェアオフィスは、複数の企業が1つのワーキングスペースを共用することからスタートした施設形態で、集中してビジネスに取り組みたい方が利用しています。コスト削減といった観点から見ると、起業したばかりの方や、従業員数の少ないスタートアップ企業に向いています。この他、人とのつながりが直接ビジネスにもなるクリエイター職など、自分で営業に行く機会が少ない人にとっても、人脈を広げられるといった点で、シェアオフィスの利用が適していると言えるでしょう。

その他の似た名前のワークスペース

コワーキングスペースやシェアオフィスの他にも、同じように利用できるワークスペースがあります。ここでは、それぞれの特徴をご紹介します。

レンタルオフィス

レンタルオフィスは、施設内の個室を借り、専有スペースで仕事をする施設です。レンタルオフィスにはどのような特徴があるのでしょうか。

特徴・メリット

レンタルオフィスの大きな特徴は、契約することで他の人が使用できない専有スペースを確保できることです。専用の部屋が持てるため、パソコンや書類など、仕事に使うものを自由に置いておくこともでき、施錠すればそのまま帰ることも可能です。

また、税理士や人材紹介業、宅建業などでは、他の人が自由に出入りできない自分専用のスペースを用意することが、許認可取得のための条件の一つになっています。そのような特定の業種が開業しやすいことも、個室を借りられるレンタルオフィスのメリットとなるでしょう。

デメリット

レンタルオフィスは、ビルオーナーから借りたテナントを区分けして利用者に貸し出すケースがあります。坪単価あたりの金額は、自分で賃貸オフィスを借りた時より必然的に料金が高くなります。レンタルオフィスの利用が長期間続くと、自分でオフィスを借りた方がコストがからないこともあるようです。

バーチャルオフィス

バーチャルオフィスとは、言葉の通り仮想(バーチャル)の事務所(オフィス)という意味です。個人事業主が、自宅の住所をビジネスで使用したくない場合など、セキュリティ面を考慮し、仮想の住所を貸りる際に利用することが多いようです。ここでは、バーチャルオフィスについて見ていきましょう。

特徴・メリット

バーチャルオフィスは、敷金や礼金は不要なため、少額の入会金や保証金のみで利用が可能です。さらに物理的なオフィスを自分で構えるわけではないので、内装工事等は一切不要で、イニシャルコストを圧倒的に低く抑えることができます。また、企業の住所が「都心一等地の住所」にできることも、ビジネスでは優位に働きます。実際、設立間もない企業や売上規模が小さい企業は、このような住所にオフィスを構えることは難しいですが、一等地の住所を法人登記しホームページなどに記載ができれば、事業にもプラスの影響が期待できます。この他、実際のオフィスはないものの、郵便物の管理や電話転送サービスや電話秘書代行サービス、FAX転送サービスなども行っていることがあります。

デメリット

バーチャルオフィスは実際のオフィスがないため、前述した個別の専有スペースがなければ許認可が取れない特定の業種では開業できません。そのため、すべての業種において利用できるわけではないのがデメリットとなります。ただし、許認可については要件が緩和されるケースもあるので、契約時に確認してみるとよいでしょう。

サテライトオフィス

サテライトオフィスとは、企業の本社・本拠地から離れた場所に設置する小規模なオフィスのことです。本拠地を中心としてサテライト(衛星)のように存在するオフィスという意味合いがあります。

特徴・メリット

支社・支店・営業所などと同じ扱いのオフィスですが、従業員の働き方に重点を置いた呼び方がサテライトオフィスです。コワーキングスペースなどは誰でも利用できる施設であるのに対し、サテライトオフィスは、複数の企業が共同で利用する他、一つの企業の従業員のみ利用できる場合もあります。

また、設置する場所によって得られるメリットも異なります。例えば、地方に設置すると、都会を離れ、自然豊かな環境で生活したいという人に合った働き方に対応できること、また郊外に設置すると、在宅勤務では思うように働けない人が働きやすくなることがメリットに挙げられます。子供がいる自宅ではなかなか仕事場を確保できない、インターネット環境がなく自宅では仕事ができない、といった従業員の柔軟な働き方を実現することができるオフィスです。

デメリット

サテライトオフィスは、本社とのコミュニケーション不足が生じやすいことがデメリットとして挙げられます。また、本社とは離れた場所で従業員自身が自らの責任で業務を遂行することになるため、業務や時間に対する自己管理を意識することが必要になるでしょう。ビジネスチャットやWeb会議などを利用し、タイムレスな情報共有や進捗報告をすることが重要です。

コワーキングスペースとシェアオフィスの違いを理解して仕事場所を選ぼう

コワーキングスペースとシェアオフィスの特徴やメリット・デメリットについてご紹介しました。どちらも一つのスペースを共有して利用するため、他の利用者とのコミュニケーションが取りやすく、新たなアイデアや良い刺激につながることがメリットです。一方、共有スペースだとセキュリティ面では注意が必要になるかもしれません。コワーキングスペースとシェアオフィス双方の違いを理解した上で、仕事内容や使いやすさに合わせて、自分が利用しやすい仕事場所を選びましょう。