コワーキングスペースとは?意味やシェアオフィスとの違い、基本的な機能を紹介

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コワーキングスペースとは、どのような施設なのでしょうか。働き方改革の推進やテレワークの普及などから、コワーキングスペースで仕事をしたいと考える人もいるでしょう。
本記事では、コワーキングスペースの意味やシェアオフィス・レンタルオフィスとの違い、設備や利用方法のほか、メリット・デメリットなどをご紹介します。コワーキングスペースを選ぶときの参考にしてみてください。

  1. コワーキングスペースとは?
  2. シェアオフィス、レンタルオフィス、テレワークとの違い
  3. コワーキングスペースの基本的な機能
  4. コワーキングスペースによってはある機能
  5. コワーキングスペースの2つの利用方法
  6. コワーキングスペースのメリット
  7. コワーキングスペースのデメリット
  8. コワーキングスペースの利用が向いている方
  9. コワーキングスペースを選ぶ際の注意点
  10. コワーキングスペースを活用してみよう

コワーキングスペースとは?

コワーキングスペースとは、さまざまな年齢、職種、所属の人たちが空間を共有しながら仕事を行うスペースのことです。「Co(=共同の、一緒に)」「Working(=働く、仕事をする)」「Space(=場所)」を語源に、それぞれを掛け合わせて作られた言葉で、「共同で働く場所」という意味があります。

シェアオフィス、レンタルオフィス、テレワークとの違い

コワーキングスペースと比較される施設やワーキングスタイルとして、「シェアオフィス」「レンタルオフィス」「テレワーク」が挙げられます。ここでは、コワーキングスペースとそれぞれとの違いを解説します。

シェアオフィスとの違い

シェアオフィスとコワーキングスペースは、利用者が仕事をする場所が異なります。シェアオフィスは施設内に複数ある個室を、それぞれの利用者が使用するのに対し、コワーキングスペースは図書館やカフェのような一つのオープンスペースを、複数の利用者が使用します。

レンタルオフィスとの違い

レンタルオフィスとは、利用者が個室などの専用スペースを契約することで利用できる施設です。利用者が、使いたい期間のみ利用するという点ではコワーキングスペースと共通していますが、契約した専用スペースは契約者のみが使用できる点が大きな違いです。

テレワークとの違い

テレワークは「「ICT(情報通信技術)を活用して時間や場所を有効に活用する柔軟な働き方」のことで、「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」の3つの形態の総称です。テレワークは「ワーキングスタイル」であるのに対し、コワーキングスペースは「働く場所」のため、言葉を耳にする機会は似ているかもしれませんが、全く異なるものといえます。コワーキングスペースを使った働き方が、テレワークの中で言う「サテライトオフィス勤務(共用型)」に該当すると考えるとよいでしょう。

コワーキングスペースの基本的な機能

コワーキングスペースには、利用者が仕事がしやすいようさまざまな機能が用意されています。ここでは、コワーキングスペースのスタンダードな機能を紹介します。

フリーアドレス制の仕事スペース

コワーキングスペースはフリーアドレス制を採用しているところが多く、利用者は空いている座席を、仕事の内容やその日の気分によって自由に選択することができます。大きなテーブルに複数の椅子が設置されている、ソファ席があるなど、コワーキングスペース内の空間デザインは施設によって異なります。

フリーWi-Fi

多くのコワーキングスペースでは無料で使えるWi-Fiが用意されているため、Webでのミーティングやデータのやり取りにも便利です。ただし、通信環境は使用している回線のタイプや回線数、利用者数(混雑具合)によって異なるため、可能であれば事前にトライアルを行い、仕事が快適に行えるかを試してみるとよいでしょう。

フリードリンク

フリードリンク

コワーキングスペースには、コーヒー・紅茶・緑茶などのフリードリンクが設置されているとこも多くあります。夕方以降ビールが飲み放題という施設や、カプセル式のコーヒーを有料で販売している施設など、コワーキングスペースによってさまざまなサービスを取り入れているところもあるようです。

コワーキングスペースによってはある機能

コワーキングスペースには、施設によって特徴のある設備やユニークなサービスを提供しているところもあります。ここでは、場所によって設けられている機能を紹介します。

個室や固定の仕事スペース

セキュリティを重視する人や落ち着いて仕事を進めたい人のために、固定の仕事スペースや個室のシェアオフィスを併設しているコワーキングスペースもあります。弁護士や税理士、宅地建物取引業など、専用のスペースがないと許認可が取得できない業種に就いている人の利用に向いています。

法人登記・住所利用

利用者の起業を支援するために、多くのコワーキングスペースでは法人登記や住所利用を可能としています。ただし、「交流機会の創出」など、起業支援とは別の目的でコワーキングスペースを運営している場合は許可がおりないこともあるため、注意が必要です。

郵便物の受取と転送

住所利用が許可されているコワーキングスペースでは、郵便物の受け取りや転送を行うことができます。どの郵便物が対象となるかや料金発生の有無はコワーキングスペースによって異なるため、これらのサービスを利用したい場合は事前に施設に確認しておく必要があります。

会議室・セミナールーム

コワーキングスペースには会議室が設置されている施設もあり、利用者は必要な際に申請して利用することができます。室内にはホワイトボードやTVモニター、プロジェクターなどが用意され、打ち合わせや商談も可能です。セミナールームの有無はそれぞれの施設で異なり、セミナールームがない場合はワークスペースをセミナー用のスペースに転用することもあるようです。

セミナー・交流会

コワーキングスペースでの勉強会イベント

施設によって差が大きいものの、セミナーや交流会を行うコワーキングスペースもあります。知識や知見の獲得、異業種との交流を行いたい人には向いている施設と言えるでしょう。一方、セミナールームがない施設でそのようなイベントが行われる場合は、ワークスペースが縮小または時間限定で使用不可となる可能性があることに注意しましょう。

専門家による支援

コワーキングスペースによっては、ビジネス分野の専門家による支援やコンサルティングを行っているところもあります。自身で専門のコンサルタントを依頼すると、多額の料金が発生するため、このようなサービスがある場合は利用を検討してみるのもよさそうです。

キッチン

キッチンが併設され、簡単な食事を作ったりちょっとしたパーティーを開催したりすることができるコワーキングスペースもあります。食事を通して一緒の空間にいる人たちと気軽にコミュニケーションをとる機会が作れます。

本棚

本棚

本棚が置かれ、ビジネスに役立つ書籍やデザイン集などが取り揃えられているコワーキングスペースもあります。巨大な本棚があることを特徴に挙げている施設もあり、ワークスペースとしてだけでなく、ブックカフェとしての使い方もできそうです。

ロッカー

ロッカー

一時的に手荷物や書類を入れておけるよう、ロッカーを設置しているところや、会員向けの有料オプションとして、荷物を預けられるロッカーを設けている施設もあるもあります。ロッカーの数や大きさ、鍵の有無はコワーキングスペースによって異なります。

コピー機

複合機

コワーキングスペースの多くには、コピー機や複合機が設置されています。利用方法には、コンビニエンスストアなどに設置されているものと同様、硬貨を投入する方法や、専用のICカードを発行・利用することで、利用分を月額または都度払いする方法などがあります。

文房具

共同で使用できる文房具を取り揃えているコワーキングスペースも多いようです。施設によって内容はさまざまですが、ボールペンや修正テープ、ホチキスの他、朱肉や付箋、クリップなど、利用頻度の高いものが揃えられています。

コワーキングスペースの2つの利用方法

コワーキングスペースの利用方法には、主に「ドロップイン」と「月額会員」の2つの利用方法があります。それぞれの利用方法の特徴を紹介します。

ドロップイン

ドロップインとは、1日または時間単位でコワーキングスペースを利用することです。移動が多い方、仕事の内容や気分に応じてさまざまな拠点のコワーキングスペースを利用したいという人に向いています。

月額会員

月額会員は、毎月一定額をコワーキングスペースに支払います。ドロップインで毎日利用するよりも、料金を低めに設定しているコワーキングスペースが大半です。利用回数が多く、料金を安く抑えたい人に向いています。

コワーキングスペースのメリット

コワーキングスペースは、利用者にとってさまざまなメリットがあります。ここでは、数あるメリットの中から4つのポイントを抜粋して紹介します。

メリット① 低コストでオフィスを確保できる

コワーキングスペースを利用する最大のメリットは、低コストでオフィスを確保できることです。自分で一からオフィスを設けるには、内装工事費や通信工事費、什器の購入費の他、ランニングコストも発生します。コワーキングスペースはそれらが既に整備されているため、コストや契約・工事にかかる時間を大幅に削減できます。

メリット② 仕事に必要なインフラが揃っている

2つ目のメリットは、利用初日から仕事に必要なインフラが揃っていることです。大抵のコワーキングスペースには電源やWi-Fi、デスクや椅子などの基本的なオフィスアイテムと機能が完備されており、それらを自由に使用することができます。会議室などが使える施設も多く、オフィスと変わらないスムーズな業務を行うことができるでしょう。

メリット③ 組織外のカルチャー、ノウハウに触れることができる

さまざまな人が利用するコワーキングスペースは、組織外のカルチャーやノウハウに触れられるというメリットもあります。オープンスタイルを基本とするコワーキングスペースは利用者同士の交流やコミュニティの形成を重視しているため、異なる業種やバックグラウンドを持つ人との関わりも生まれ、情報・知見、インスピレーションの獲得や、アイデア創出などの効果が期待できるでしょう。

メリット④ 新たなビジネスチャンスがある

新たなビジネスチャンスがあることもコワーキングスペースのメリットと言えるでしょう。コワーキングスペースにおけるさまざまな人との関わりや情報交換は、新たなビジネスパートナーとの出会いやビジネスの創出、仕事の受注につながる可能性を秘めています。

コワーキングスペースのデメリット

コワーキングスペースを使用する際には、デメリットを理解した上で利用を開始することが大切です。考えられるデメリットを見ていきましょう。

デメリット① 周囲の会話やBGMなどが気になることも

コワーキングスペースは不特定多数の人が利用するため、周囲の会話や作業音、人の出入り、施設内のBGMなどが気になり業務に集中できない可能性があります。周囲の音が気になる人は、個別ブースや個室があるコワーキングスペースを選ぶとよいでしょう。

デメリット② フリーアドレス制だと席が埋まっていることも

フリーアドレス制のコワーキングスペースの場合、必要なときに席を確保できないことがあります。駅からのアクセスがよい、設備が充実しているなど、人気のコワーキングスペースではその可能性がより高まることに注意が必要です。それらを解消する手段として席やスペースの予約、混雑状況などをホームページやアプリで確認できるサービスの提供を行っているコワーキングスペースやサービス会社もあります。

デメリット③ 企業のオフィスよりセキュリティレベルは落ちる

コワーキングスペースは、企業のオフィスに比べるとセキュリティレベルが低いとされているようです。席を離れる際の盗難のリスクの他、インターネット回線の問題や人為的ミスによる情報漏えいの可能性が懸念されることもあるでしょう。事前にセキュリティー環境のチェックや対策を施しておくことが必要です。

デメリット④ 取引先企業からの理解が得られない場合もある

セキュリティなどの観点から、コワーキングスペースで業務を行うことについて取引先から理解が得られない可能性もあります。個人情報を取り扱う職業などの場合には特に注意が必要です。

コワーキングスペースの利用が向いている方

コワーキングスペースの利用には向き不向きがあります。ここでは、コワーキングスペースでの作業に向いている職種や人を紹介します。

起業を考えている人、独立準備中の人

起業や独立を考えているものの資金の工面や手続きに課題を感じている人は、コワーキングスペースを利用することで初期費用やランニングコストを低く押さえることが可能です。抑えられた費用を学習費や広告費に回すこともできるでしょう。

クリエイティブな職種

Webデザイナー・ライター、設計士・建築家、イラストレーターなどのクリエイティブな職種は、自宅で一人で仕事をするよりも、コワーキングスペースでの交流をすることでイノベーティブな案が出やすくなる可能性があります。

移動が多い人

コワーキングスペースは、営業職などの移動が多い人にも向いています。さまざまな設備と備品が用意されているため、Webミーティングや資料作成、最終の見直しなどを行うことができるでしょう。また、住所利用も可能なので、アドレスホッパーが郵便物の受け取りをするのにも便利です。

コワーキングスペースを選ぶ際の注意点

コワーキングスペースを選ぶ際にはどのようなポイントに着目するとよいのでしょうか。コワーキングスペースを選ぶ際の注意点をまとめました。

自分の求める働き方にマッチするか

まずは、利用したいコワーキングスペースと自分の求める働き方がマッチするかが重要です。以下のポイントをチェックするとよいでしょう。

  • 自宅やメインオフィスからのアクセス
  • 利用可能な時間帯
  • 利用料金
  • ワークスペースの広さ、座席数

自分の求める機能があるか

次に、自分の仕事の内容や目的に応じて、コワーキングスペース内に必要となる機能があるかをチェックします。

  • 会議室やセミナールームの有無
  • プリンターなどの設備
  • イベントやセミナーの有無

取引先の求める基準をクリアしているか

自身だけでなく、コワーキングスペースが取引先の求める基準をクリアしているかも重要です。取引先にリスニングをしつつ、以下の点を確認しましょう。

  • 法人登記
  • 住所利用の可否
  • 個室の有無
  • セキュリティ対策は万全か

トライアルやドロップインを利用してみる

イメージと実際の様子とのギャップを少しでも減らすためには、トライアルやドロップインを利用したり開催されているイベントに参加したりして、実際の設備や雰囲気を確認することが大切です。気になるコワーキングスペースをいくつかリストアップし、利用した上で、比較検討するとよいでしょう。

コワーキングスペースを活用してみよう

コワーキングスペースとは、どのような意味があるのか、またどのような施設なのか気になっていた人もいるのではないでしょうか。コワーキングスペースには、単なるワークスペースとしてだけでなく、交流や知識獲得の場としての側面もあります。それぞれの施設によってさまざまな特徴やサービスがあるため、事前に複数のコワーキングスペースを比較した上で、使いやすい場所を見つけてみてはいかがでしょうか。