個人事業主の登記は必要?商号登記のメリット・デメリットや手続きのコツ

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個人事業主の登記って?商号登記

個人事業主が開業する際に登記をする必要はあるのでしょうか。個人事業主は法人ではないため、登記の際にどのような手続きをすればよいのか迷う人もいるでしょう。本記事では、個人事業主が利用できる商号登記制度についてご説明します。また、個人事業主が商号登記を行うことによるメリット・デメリットと、申請手続きのポイントなども合わせて解説しますので、個人事業の登記を検討中の方はぜひ参考にしてください。

  1. 個人事業主に登記は必要ない
  2. 個人事業主が行う「商号登記」とは
  3. 個人事業主が利用可能な商号登記のメリット・デメリット
  4. 商号登記手続きに必要なものとスムーズな手続きのポイント
  5. 個人事業主の商号登記はコワーキングスペースの住所利用もできる!
  6. 個人事業主の信頼につなげるためには商号登記がおすすめ

個人事業主に登記は必要ない

個人事業主は法人ではないため、事業を始めるときに法人登記をする法的義務はありません。一般的に、個人事業主における登記とは「商号登記」のことを指し、事業内容によって、この制度を自主的に利用することが可能とされています。

ここからは、「商号登記」についてご紹介します。

個人事業主が行う「商号登記」とは

個人事業主が行う「商号登記」とは、個人事業主の屋号を法務局へ登記することです。屋号とは個人事業の名称のことで、法人における会社名と同じものと捉えるとよいでしょう。屋号は、必ずつけなければいけないものではありませんが、税務署に提出する「開業届」や「確定申告」に記載することで取得できます。ただし、税務署への届け出のみでは法律で保護された情報にはなりません。屋号を商号登記することによって、個人事業に関する法的な証明となり、個人事業主の情報を一般に公開することが可能となります。

ここでは、商号登記と似ている言葉の「商標登録」や会社設立時の「法人登記」について、それぞれの意味と「商号登記」との違いを解説します。

商標登録との違い

「商標登録」は事業主全体ではなく、一つの商品やサービスに関するライセンス申請(特許)のことで、特許庁が管轄しています。一方、「商号登記」は個人事業主が自己を表示するために使用する屋号を登記することで、管轄は法務省です。類似した言葉ですが、管轄省庁や申請目的は大きく異なります。

法人登記との違い

「法人登記」とは、法律で義務付られている制度で、 設立する法人に関する重要事項に関して登記することです。「商号登記」とは申請手続きを必要とする対象者が異なります。「法人登記」は言葉の通り法人に必要な手続きなのに対し、「商号登記」は個人事業主が行う手続きです。また、法人登記に必要な書類は10種類以上あり、商号登記に比べて手続きも複雑と言えるでしょう。

個人事業主が利用可能な商号登記のメリット・デメリット

商号登記は、法律で義務付けられたものではありませんが、手続きをすることによりどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。メリット・デメリットを理解したうえで、商号登記が必要かを検討してみましょう。

商号登記のメリット

商号登記をする一番のメリットは、個人事業の社会的な信頼性を高められることです。商号登記により屋号や代表者氏名などの情報を一般公開することが可能となるため、きちんと事業を行っていることの証明にもなります。

また、将来的に法人化を検討している場合は、個人事業主の段階で商号登記しておくことも有効です。商号登記をしなかった場合、それまで使用していた屋号がすでに商号として登記されていると、法人化する際に屋号を変更しなければならない可能性があります。法人化しても同じ屋号で事業を続けたいのであれば、あらかじめ商号登記をしておくとよいでしょう。

商号登記のデメリット

デメリットとしては、登記に費用や手間がかかることが挙げられます。商号登記は、商号や代表者氏名などを登録する際、項目ごとに登録免許税が必要です。また、登録内容を変更する際も課税対象となります。この他、法的義務がないにもかかわらず、書類を用意して法務局に出向くことを手間と感じる人もいるでしょう。

商号登記手続きに必要なものとスムーズな手続きのポイント

実際に個人事業主が商号登記を行う場合、手続きには何が必要になるでしょうか。手続きをスムーズに行うポイントと併せてご紹介します。

商号登記手続きに必要なもの

個人事業主が商号登記をする際には、以下のものが必要です。

1.個人の実印

2.個人実印の印鑑証明

3.印鑑届出書

4.商号登記申請書

5.登録免許税(1件につき3万円)

6.屋号印、商号印(ある場合)

個人事業主本人の実印と印鑑証明書は必ず必要となるため、印鑑登録は事前に済ませておく必要があります。また、屋号を登録する場合は、屋号印もあるとよいでしょう。(参考:国税庁『No.7191 登録免許税の税額表』)

商号登記をするときのポイント

商号登記の申請手続きはオンラインでもできますが、法務局員に対応してもらいながら済ませることもできます。法務局のホームページを確認し、オンライン手続きに不安がある場合は、必要な物を持参し、窓口で申請するのがおすすめです。捺印場所や印紙の貼付箇所なども教えてもらえるため、修正などで作成し直す必要もありません。

なお、商号登記申請書は自分で用意する必要があります。法務局のホームページの他、インターネット上には商号登記申請書のフォーマットや記入例があるため、参考にしてみるのもよいでしょう。

個人事業主の商号登記はコワーキングスペースの住所利用もできる!

オフィスを持っていない場合や、自宅をオフィスにしているが住所を一般公開するには抵抗がある個人事業主も多いのではないでしょうか。そのような場合には、共有の作業スペースで仕事ができるコワーキングスペースの住所を商号登記の住所に利用することが可能です。

コワーキングスペースの住所を商号登記に利用すると、「自宅住所などプライバシーが保護できること」や「都心の一等地の住所でありながら、低コストでの事業の立ち上げが可能なこと」など、いくつかのメリットがあります。

ただし、コワーキングスペースによっては、商号登記の住所に利用できない場合もあるため、事前に利用規定の確認が必要です。

コワーキングスペースについて詳しく説明した記事はこちらから読むことができます。
(参考:コワーキングスペースとは?意味やシェアオフィスとの違い、基本的な機能を紹介

個人事業主の信頼につなげるためには商号登記がおすすめ

個人事業主の商号登記は、法的な義務はなく、必ずしもやらなければいけないことではありません。しかし、個人事業主が屋号を登記をすることで社会的信用につながることや、自分が愛着を持って使用する屋号を使い続けることができます。商号登記の際には、コワーキングスペースの住所を活用することも可能ですので、メリット・デメリットを理解した上で商号登記をするか検討しましょう。