イベント・勉強会レポート

「今プラス 布団屋の元倉庫店」を運営するジャパニーズ株式会社 中野龍馬さん・下原涼介さん、守山市役所の杉本悠太さんにお話いただきました(第85回コワーキングスペース運営者勉強会®)


滋賀県守山市で「今プラス 布団屋の元倉庫店」を運営するジャパニーズ株式会社 中野龍馬さん・下原涼介さん、守山市役所の杉本悠太さんにお話いただきました。

日時:2022年3月24日(木曜日)19時~20時
場所:今プラス 布団屋の元倉庫店(オンライン配信も同時開催)

今プラスの中野と申します。今回は主に関東を中心に開催しているコワーキングスペース運営者勉強会のスピンオフという形で地方開催ということでお声掛けいただきました。どうぞよろしくお願いします。

本日はコワーキングスペースの作り方や集客の方法についてお話していきたいと思います。

小さい一軒家から始まった今プラス

今プラスは、本日の会場である守山市の「布団屋の元倉庫店」という店舗のほかに湖南市という人口5万人の地域にも店舗があります。今プラス自体は2014年頃に湖南市の店舗から始まったのですが、その時は古民家で、本当に小さい一軒家から始まりました。それがおよそ3年間続き、その頃は利用者さんは週に1~2人来るかどうかくらいだったのですが、これをビジネスとして成り立たせたいなと思い、2017年に草津線の甲西駅前に移転しました。

人口5万人・乗降客数4,000人程の地域のコワーキングスペースは全国にたくさんあるのですが、ほぼビジネスとして成り立っていないところが多いです。僕はビジネスとして成り立つスペースを作りたいと思い、2017年に1店舗目を作りました。

有難いことに1店舗目で事業としてやっていけるという成績を残せたので、2021年には2店舗目になる「布団屋の元倉庫店」を作りました。元々布団屋の倉庫だったので畳などがたくさん残っていましたし、今は想像できないくらい埃っぽい部屋だったのですが、それをコワーキングスペースとして新しく生まれ変わらせて2店舗目にしました。

1店舗目は、最初は来店者数0人のスペースでしたが、2017年に移転してからは1日10人に使われるようになりました。現状では、両スペース合わせて常時50人くらいに使われるようになっています。
こうしたスペースになりましたが、コワーキングスペースが人口10万人以下の町でビジネスとして成り立つのが全国的にとても珍しいパターンなのか、「どうやったら成り立つんですか」ということをよく聞かれます。

僕らが今回お話するのは、「こうやったら成り立ちますよ」という部分と「こうやって成り立たせてます」という部分。それに加えて「コミュニティをどうやって作るか」という、よく聞かれる部分もお話いたします。また、他のコワーキングスペースではなかなか話されないような自治体連携も地方のスペースではとても重要になるので、そちらを市の担当者の方に話していただこうと思います。

今プラスのコミュニティの作り方

集客の話をお伝えする前に、先に聞いていただきたい重要な事があるのですが、コワーキングスペースを事業として作るのは、僕はそんなに難しくないと思います。

人がたくさん来るようなスペースを作るのはそんなに難しくないけれども、人が来れば来るほど自習室になってしまうし、すごく静かな場所になってしまうので、コミュニティを作るのが結構大変だと思っています。

最近、僕は湖南にも守山にもほとんどいないので、僕が話すと説得力がないです。こちらの守山には下原という店長が、湖南にはマツザキという店長がいるのですが、今回は下原にコミュニティの作り方を話してもらいたいと思います。

今プラス布団屋の元倉庫店店長の下原涼介と申します。よろしくお願いします。
今日は、約1年程ここを運営させていただいて感じた事や、コミュニティの作り方をお伝えできればと思っています。

ここをオープンするにあたって、どういうスペースにしたいかをすごく考えました。私は、ここで出会った人達とすれ違ったり話したりできる、距離感の近いスペースにしたいなと思いました。あと「ここに来るとすごく落ち着くな」とか、そういった安心できるスペースにしたいと思い、一番最初は頑張りました。

今日しか会えないという気持ちで

コワーキングスペース内で特に意識したことは、そんなに難しくはないのですが、どのお客様にも「今日しか会えない」という気持ちで積極的に話しかける、隙があれば少しでもいいから話すという事を心がけていました。

話しかけるタイミングもすごく重要だと思っていて、基本的に2階で集中して作業されていて、1階に降りてきた時に、ふとした瞬間に顔が疲れていないかなどを逐一確認して、話せそうだったらさっと話す。そうした感じで意識していましたし、何より「このスペースを自分が一番楽しんで全部使おう」といった気持ちで運営していました。

それをやればやるほど利用者様同士も近くなって、最終的には僕を介さなくても利用者様同士が話してくれる、すごく活性化されたスペースが生まれていると思っております。

コワーキングスペース以外にもコミュニティを広げる

このスペースだけではどうしても狭くなってしまうので、SNSなどで発信できる事、ここにプラスになる事は少しずつでも発信したり、地域で知り合いが経営しているマルシェなどの面白いイベントに積極的に参加したりして、色々な方と繋がりを持ちました。

また、自分でもイベントを開催していて、竜王町のアウトレットでスマッシュブラザーズというゲーム大会を開催するなど、自分で別のコミュニティを作る事を意識して、幅広く動こうと思いながら行動しておりました。

そうすると、そこで知り合った方々が自然とスペースに来てくださったり「今プラス知ってる」と言ってくださったりするので、これはすごく良い事だと実感しております。

コワーキングスペース運営をする上でやめた方が良い事

でも、これだけはやめた方が良いと思う事があります。一度「子どもと一緒に仕事をしたい」という事を中野さんにお伝えしましたが、「このスペースでは厳しく、どうしてもぐちゃっとなってしまう」と優しく諭してもらいました。「ここではできないけれど、別の事業としてまたやろうよ」と言ってもらいました。スペースを壊さない事、雰囲気を壊さない事が大事です。

また、日々利用者の方々には「何か使いにくいところはないですか」と聞くのですが、意見が強い方に「これが良くなかった」と言われるので、意見を聞き過ぎず、フラットに運営できるように心がけております。

あと、これは当たり前かもしれませんが、コミュニティ内の情報は絶対外には売らないというのが大事だと思っております。

運営しやすくするための人材の発掘

スペースの運営は利用者様の機微などをよく見ていないといけませんし、自分の仕事との兼ね合いもあるので、とても難しいと感じています。

コワーキングスペースと似た業種はあるかと考えた時に、飲食店のホールやアパレルショップの店員などはワンフロアでお客様の情報を確認しながら臨機応変に対応できますし、自分のファンになってもらえる術を学ばれている方が多いです。そうした方を面接する時に発掘できると、運営はやりやすくなるのではないかと感じています。

日々の業務とコミュニティ作りの両方をこなしていくのは大変で、なかなかできない時もありますが、それをこなしていくことに価値があると思うので、楽しみながら成長できるといいなと思っています。僕もできることがあれば協力するので、仰ってください。ご清聴ありがとうございました。

地方でコワーキングスペースを作る際の3つの条件

今、下原からコミュニティの作り方についてお話させていただきました。コワーキングスペースに相談しに来られる方の中には、スペースを作ったら勝手に人が来る、勝手に人が来てコミュニティが生まれると誤解している方がとても多いです。

コワーキングスペースを地方で運営する場合には、「そもそもこの条件をクリアしていないと人は来ないですよ」ということを、これから作りたいと思っている方にお伝えできたらと思います。

コワーキングスペースには別に人も来なくていいし、採算も取れなくていいよという場合は、今からお話する事は無視してもらって大丈夫です。自分が作りたいスペースを作ってもらった方がいいです。

地方でコワーキングスペースを運営する場合には、「中野の法則」というものがあります。これは何かというと、10分・100平米・1ではない。この3つの条件が当てはまっていないと、地方でコワーキングスペースは事業としてもできないし、コミュニティの場所としても多分成り立ちません。

条件1:10分

まず10分はどういう意味かと言いますと、必ず駅から徒歩10分以内。田舎であっても10分以内。もう1個のテナントがある甲西駅では、駅からの乗降客数が4,000人くらいです。1日2,000人くらいにしか使われていませんが、それでも必ず10分以内じゃないとダメです。

10分以内にすることで、まずそこに通っている学生や大人がそのスペースを使いに来てくれます。駅から10分以上の場所ですと、そもそも使いに来てくれない可能性が出てきます。

条件2:100平米

2つ目が100平米以上。小さなスペースを作ろうとする方がすごく多いのでお伝えするのですが、小さなスペースでコワーキングスペースというのも全然問題ないと思います。ただ、ビジネスで使用したり、コミュニティの場所にしたりする場合、100平米以上はないと、コワーキングスペースとして仕事がはかどる、集中できる場所として作ることができないため、まずそこに人が来ません。

今日はイベントがあるから来ましたとか、その人と喋りたいから行きますというのはありますが、日常的にそこに人が滞留することはないので、コワーキングスペースとして色々な方々が集まって交流することはありません。100平米以上必ず作ります。

100平米以上あると、今回みたいに1階は話せるスペース、2階は話さずに集中するスペースという機能分けもできます。今からもしスペースを作る方は、この大きさ以上を作る、この大きさ以上のテナントを探すというのは絶対に覚えておいた方がいいです。

条件3:1ではない

最後に、1ではないというのは、下原の発言にもあったように、運営スタッフの数が1ではない。僕は3年間古民家で1人でコワーキングスペースを運営していたことがありますが、男性1人で運営していると女性の方はすごくその場所に行きにくいですし、その方だけで毎回同じなので、交流したいとも思わなくなるんですね。

今、うちは湖南に5人、守山に4人スタッフがいます。それぞれスタッフのカラーが違うので、今日はこの人と喋りたいとか、今日はあの人がいるんだったら行こうかなというのが、かける4倍や、かける5倍になっていきます。これが男性の1だと女性はすごく行きづらくなったり、年齢層が低い1だと、どうしても年齢層が高い人は行きづらくなったりします。

スタッフたちが本当に良いコミュニティを作るので、これからコワーキングスペースを作って、事業としてもコミュニティとしても回していきたいという方は、この10分と100平米と1ではないというのを最初の前提条件として覚えておいてください。

東京や大阪の場合は、このルールに則らなくて良いと思います。人口がものすごく多いので。しかし、うちみたいに守山は人口10万人以下、湖南は人口5万人以下、他でも人口20万人以下の場合はこのルールに必ず則っておかないと、次のスライドのグラフがうまくいきません。

3年以内に潰れるケースにならないために

コワーキングスペースを作りたいと相談にいらっしゃる方は、2パターンに分かれます。ビジネスとして運営していきたい場合と、空いているスペースがあるから運営したい場合。空いているスペースがあるから運営したい場合は、好きなようにしたらいいと思いますと言っていますが、ビジネスとして運営していきたい場合は、まず基本的にこの左側の儲かったケースというのをちゃんと覚えておかなければいけません。

コワーキングスペースを作って儲かりたい、今の空いているスペースを使って売上を作りたいといった時に、さっきの3つのルールに則ってなかったり、損したケースを自ら進んで行ったりする方は、結果として2年程で潰れます。

スペースの人件費やテナント代、光熱費は、今プラスでいうと守山で月60万円くらい。湖南も同じくらいの金額がかかっていますが、その金額をクリアするような売上をビジネスとして上げていかないと、コワーキングスペースの存続が厳しくなり、3年以内に潰れるというケースになります。

今、地方ではたくさんコワーキングスペースができています。補助金も出るし、空いているスペースもある。実は、コワーキングスペース協会の星野さんが、埼玉県さいたま市にコワーキングスペースを作る際に日本全国をインタビューして周ったんです。YouTube番組で色々な代表の方に取材されました。2012年に35スペース程周ったそうですが、その内残っているのが5スペースもないくらいです。

僕が昨日見た感じだと、今滋賀県に45スペースあるんですよね。県内では、月に1スペースずつくらいできています。コワーキングスペースを作りたい、事業として成り立たせたいと相談にいらっしゃいますが、僕は「前提条件としてまずここをクリアしてないと、アドバイスできることはないです」と言ってます。

アドバイスできることがあるとしたら、このあと5分後くらいにお話する集客方法であれば成り立つかもしれないですとお伝えするのですが。まず先ほどの条件に則って、ビジネスとしてちゃんと存続させることを目指した方が良いです。

ちなみに、このコワーキングスペースを作った話や借入した話、運営にいくらかかったかなどのお金の話はAmazonの電子書籍で出版しているので、細かい事はそちらを見ていただければと思います。

コワーキングスペースを作りたい、コミュニティの場所を作りたいとなった時に、そもそものはかどる場所を作らないと人は集まってくれないので、コミュニティが生まれない。コミュニティが生まれないからコワーキングスペースを運営するモチベーションもなくなってしまい、そもそも人がいないので採算が合わずに潰れてしまいます。

はかどる場所ができて、採算が取れるようになって、そしてそこに良いスタッフたちがいてくれて、スタッフとコワーキングスペースにいる方々のコラボレーションが生まれると、色々な企画も生まれていきます。

守山市はあるテーマを打ち出しているので、僕らはここでやろうと決めたのですが、その話は市の担当の方に後ほどお話ししていただこうと思います。

コワーキングスペースの集客に向いているのは、Webによる集客

皆さんが気になるのは、コワーキングスペースの集客はどのようにするのかという事だと思いますが、僕らの集客方法はWebだけです。口コミや折り込みなどの方法もあると思いますが、僕らはWebだけ。WebサイトとSNS、Web広告、SNS広告、これだけです。

先月、新型コロナウイルスの感染者数が滋賀県で200人を超えたので、僕らは自主的に1ヶ月間コワーキングスペースの新規会員も利用者もストップしました。今月から再開して、今新規の会員数が月に11人くらいです。大体3日に1人くらいが新規会員になっていただいていますが、その方たちにアンケートをとると、11人中10人がWebで口コミが1人だけなのです。

新たに力を入れたランディングページ

今月から力を入れた施策が効いているなと思いました。今日はその話をしたいと思います。今まではWebサイトとSNSでの情報発信だけだったのですが、僕らが今月から思いっきり頑張ったのはランディングページの作成です。

ランディングページといっても皆さんはイメージしにくいかもしれないですが、1ページで全ての情報を網羅でき、最後のページ終わりのところに申し込みフォームがあります。

色々なページを回遊しなくても、1つのページを見ればそのスペースの良さがよく分かるようになってます。このランディングページは、今プラスのホームページに飛んでいただいて、そこにあなたは自習したいですかというのがあり、自習ボタンを押すとこのランディングページが出てきます。僕らは自習に必要なランディングページも作り、シェアオフィス用やリモートワーク用のホームページもそれぞれ作りました。

なぜそれぞれ作ったかというと、うちには会員がおよそ90人いるのですが、約4割が学生で自習で使いたい方、約3割がフリーランスの方です。そして残りの3割程がリモートワークで使いたい方々です。

リモートワークで使いたいからホームページを見てくれた方に自習の情報を届けると、ミスマッチングなので離脱してしまいます。だから僕らは1個ずつ自習用・フリーランス用・リモートワーク用のランディングページを作り、それぞれに対してSNS広告を出すことで、だいたい1ヶ月に10~15人ほどの新規会員が獲得できていると思います。広告費用がどれくらいかかったかなど、もし気になることがあったら、後ほど聞いてもらえたらと思います。

しつこく言いますが、地方で運営する条件としては駅から10分以内に作る事と、100平米以上ある事、そして1ではないというこのルールに則ったうえで集客したいですと言ってもらえたら、おそらく僕はすごく最適なアドバイスができます。

でもこの前提条件が難しいと、先ほどの集客方法ぐらいしかアドバイスできないです。3つがしっかり整うと、コワーキングスペースビジネスとしても成り立つし、コミュニティとしても成り立ってきます。

僕らが今回この守山市で作ったのには、もう1つ大きな理由があります。もともと1年前に湖南に店舗があって、新しい店舗をどこに作ろうかなと思ったんです。八津市でも良いし、大津市でもいいし、草津市でもいい。僕らは湖南の店舗を3年間やってきた中で、行政の方々と面白いことをやりたいなと思ったんですね。

そうしたら、今回この物件を見つけてきてくれたのはテナント情報や地域の不動産屋ではなく、ある方でした。そのある方と繋げてくれたのは市の担当者さんです。今からはその担当者の杉山さんに、今守山市がどういうことをテーマにしてやろうとしているのか、そこに対してコワーキングスペースとして自治体連携して、どういった感じでやろうとしているのかをお話していただければと思います。

1000人の起業家が集まる町を目指す、守山市との連携

中野さん
守山市役所の中には水道を扱う課や税金を扱う課など、色々な課がありますが、杉本さんがいる課は地域振興課という地方創生をする課です。守山市の地域振興課では、今どういったことをされていますか?

杉本さん
今、地域振興課で行っている事は主に大きく4つです。1つ目は琵琶湖の観光振興。2つ目が企業誘致。その名の通り企業を誘致する。これはどこの行政もやってます。3つ目が企業創業の支援です。最後の4つ目が、その他の地方創生を全部行っています。

中野さん
そのうちの3つ目ですね。今、守山市は、今月発行された広報誌の表紙にしているぐらい起業家を集めようとしてます。これは、誰が言い出したんでしたっけ?

杉本さん
市長ですね。市長は起業家の集まる町とは言っていないのですが、3年前に「起業の町を作りたい」と言っていました。イメージとしては起業家の集まるような町が作りたいというニュアンスで。僕は市長直属係長なので、その時に市長と話した結果、起業家が生まれる町はよく分からないので、起業家の集まる町がいいんじゃないですかというようなことを、2人で話した思い出があります。

2店舗目を守山市に作った理由

中野さん
先ほどの話に戻ると、僕が1年前にコワーキングスペースをどこの場所にしようかな、行政と面白いことがしたいなと考えていた時に、守山市が起業で町おこしをしていると知りました。

杉本さんは守山市職員の方なのですが、湖南市民の僕と家がすごく近くなんです。同じ地区のお祭りに行ったら絶対出会う人のような感じです。子どもも同じ小学校に通っています。

杉本さんが守山市の職員ということは知っていたので、「2個目のコワーキングスペースを作りたいと思ってるんですが、良い場所はないですか」と言ったら、「OK!ちょっと待ってて」と言って、3日後に「龍馬くん、これとこれとこれあるけど、どうする?」みたいな感じで、ポンポンポンと送ってきてくれたんですよ。その送ってくれた内容が、不動産屋さんのホームページなどには全く載ってないような市のテナントだったんですね。これはどうやって探したんですか。

杉本さん
その時は、すぐに市長に言いに行きました。「僕の地元の友達が守山にコワーキングスペースを作りたいって言ってくれてるんだけど、何か情報はありませんか」というような事を言いました。なぜ市長に言ったのかはあとで話した方がいいと思いますけど、言った方が早いなと思い言ったら、「杉本くん、ここは自治会の〇〇さんが困ってて、こっちは〇〇さんがオーナーがだから」という情報を市長が持っていたので、「どう?」とそのまま写真と地図を自分で色を塗って送ったのが3日後です。

中野さん
3日後ですね。そんな市役所は滋賀県内で他にないと思います。物件情報が欲しいですとお願いすると、市長がコワーキングスペースという言葉の意味を理解していて、情報提供もしてくれるような場所は他にないと思いました。だから僕らは「守山に作りたいです」と言って、こちらを作ることになりました。

守山市以外の人へPRするプロジェクト「up stream」

今、守山は起業家の集まる町としてやっていますが、この1年間、今プラスはそれにどれだけ貢献できたかと言われると、多分まだ全然してないんですね。商工会議所に来た方が、起業したいです、住所使いたいですという時にここを使っていただいたことはありましたけれど、僕らはやっぱり自治体と一緒に連携していく中で何か面白いことをしたいと思いました。その時に守山市のホームページを見たら、起業家の集まる町のPR業務ができる方はいませんかといった、プロポーザルが出てたんですよ。だから僕らは提案させていただきました。その内容はこちらです。

今月末頃に公開するのですが、滋賀県の起業家で、スタートアップや、地域のスモールビジネスではない方々のメディアサイトと、オンラインコミュニティをSlackを使って行う、up streamというプロジェクトを僕らは提案させていただいて、そちらが無事に通りました。

up stream

もちろん、うち以外にも提案していただいたところもありましたが、他のところは市の業務なので、守山市の起業家をフィーチャーするサイトを作りましょうだとか、守山市のPRをしましょうと提案していたと思います。

僕らはそうではなくて、守山市が起業家の集まる町を目指すのであれば、守山市の人にこれ以上知ってもらっても全く意味がないので、滋賀県や滋賀県外の方に知ってもらうようなものを作らないとダメですよという、少し強めの表現の提案を市役所にしました。

真意的には間違いないと思ったのですが、この前市長にインタビューさせていただいたんですね。その時に出てきたキャッチコピーが、守山を拠点に1,000人の起業家が集まる町を作るで、とても熱意を持ってお話ししていただいたんです。これを聞いた時に、コワーキングスペースと自治体行政が一緒に連携できるとすごく良い、素敵な例が作れるなと思いました。

行政がコワーキングスペースに期待している事

中野さん
これはしっかり杉本さんに聞いたことはないんですが、平日の日中に若者がいるスペースってなかなかないじゃないですか。スーパーとかイオンモール以外に。そうした状況で、行政職員として、コワーキングスペースとうまいこと何かやりたいなとなった時に、必要な要素はありますか。行政が求める地方創生という文脈で、こういうものがコワーキングスペースにあったらいいなという。

杉本さん
これを言語化するのはすごく難しいです。彼は「行政と一緒に何かしたらいいんじゃないか」といつも言うのですが、今のこういうものがあったらいいなの話の前に、行政のあるあると言いますか、行政でコワーキングをちゃんと理解して、さっきの説明をメモを取らずにああそうかって聞ける行政職員はあまり多くないと思います。

コワーキングスペースというものが何なのかもそうだし、何で下原店長はコミュニティを作る時にこういうことに気をつけた方が良いですよと言ってるのかということも、多分あまり分かってないです。

先ほど彼が言った言葉で言うと、行政はコワーキングができたら勝手にコミュニティができると考えがちです。次に、コワーキングができたら若い人やイケてるメンバーが勝手に集まってきて、プロジェクトをどんどん起こすというイメージがあります。でも行政は近寄りがたいから行かないでおこう、といった3つの行政のイメージがあると。僕はそうではなくて、市長ともよく話していますし、多分市長はそれを聞いたから先ほどの話をしたのだとと思います。

彼が色々な方に聞かれるように、僕も最近よく聞かれるんですが、行政で町にコワーキングあった方が良いと思いますかと聞かれるんですね。なぜ僕に聞くのかなと思うのですが、多分彼がいろんなところで守山が良いよと言うからだと思います。

全国の自治体から電話がかかってきて、「杉本さん、行政が整備した方が良いですか」「民間が整備した方が良いですか」「コワーキングあった方が良いですか」と聞かれます。それはあった方が良いに決まってますし、ないと困るというくらいに僕は思っています。行政が整備する必要が、そもそもあるのかなとすら思ってます。それは彼が言った通り、1人ではできないし、コミュニケーターがちゃんといないとできないところがあるからです。

本題にいきますが、行政としてコワーキングに期待している事は何かというと、ここは少し難しくて、僕は何を期待して良いかが分からない状態で2年間が経過しているという状態なんです。これが答えなんですね。

何を期待して良いかが分からないからどうしようかと思っていたけれど、彼が先ほどのup streamという提案をくれましたとか、個人情報は売らないけれど、今地域でこういう話があるのですが、どう思いますか?といったことを、コワーキングに来て彼や店長と話したり、スペースにいる方と話したりして、地域の声を拾うようにしたんです。

結局何を期待して良いかが分からないし、期待はしてないけど、僕は結構これがためになったんだな、結果として僕はこれを期待してここに来ていたんだなと思うのは、地域の声を拾えるというのがあって。ここに来た方が行政として課題解決がしやすいというのがひとつ。

なぜ僕が先ほどのup streamの政策をしようと思ったのかは、市内に4つの民営コワーキングがあって、定期的にそこに行っている時に、市内で活躍する人の事を市内でセミナーするよりも、他の所の情報を取ってきて出すとか、他に対して守山がすごいよと言う事が大事だと分かったからです。行政が期待してるというよりは、行政としてそこに入っていくことでリアルな声を拾っています。

あと彼の評価を聞きたいんですが、僕が2年間やってきた政策はリアルな起業家を支える政策になっているのか、70点くらい取れてたら良いのかなというところです。あと30点は期待が足りてないのかなというのがあります。答えとしては、声が聞ける事を行政として期待しているだけで、それ以外はあまり何を期待して良いかが分からないし、何を頼んで良いかも分からないという状態かなと。

中野さん
自治体の方はやっぱり声が聞きたい、その地域にいる若者やイケてる人の話が聞きたいとなるんですけど、それをやるためにはまず集客しないとダメですよね。そして集客するためには、前提条件を作らないとダメだよねというのを、今日のお話の中で皆さんに知ってもらえたらそれで良いかなと思ってます。

今日来られている方の4分の1はコワーキングスペースを運営されていると思うんですけど、4分の3はまだ作られていない方々ですよね。もし今からスペース作りたいとなったら、先ほどの前提条件はしっかり守っていただきたいです。尚且つ集客もできて、そのうえで自治体連携という意味では、僕らは杉本さんというとても面白いクレイジーな職員さんがいたからうまいこといったけれど、湖南市ではまだそういうのはできていないですね。湖南市はどちらかというと自分たちで町おこしをしてます。

行政職員でクレイジーな人がいたらいいなと思っていて、1人いらっしゃるんですが、担当課が違うとなかなか難しい部分があるので、そこはちょっと時期を待ちつつ。杉本さんがいたから僕らはここに来れたし、尚且つ今も面白い事ができてるし、これからも守山市と自治体連携して面白いことができるようになると思います。いくつか質問いただいていますので、僕からのスライドはこれで以上にします。

登壇動画を会員限定で共有しております
こちらの記事の元となった約66分間のご登壇動画と質疑応答の内容は、当協会会員限定で公開しております。全ての内容をお聞き、ご覧になりたい方は、当協会へのご入会をぜひご検討ください。
入会申込

一般社団法人コワーキングスペース協会のメールマガジン
ご登録いただきますと、今後のコワーキングスペース運営者勉強会の開催予定をご案内いたします。
一般社団法人コワーキングスペース協会のメールマガジンのご登録


一般社団法人コワーキングスペース協会では、コワーキングスペース業界に関わりのあるコンテンツを今後とも提供していきます。


--------------------
【一般社団法人コワーキングスペース協会の会員限定コンテンツ】
コワーキングスペース運営者勉強会でお話いただきました運営者の動画と質疑応答は、協会の会員限定で公開しております。
協会の会員は、以下の「会員ログイン画面」より、事前にお伝えしている会員ID(ユーザー名)とパスワードを入力の上、動画と質疑応答を閲覧できます。
会員ログイン画面 – 一般社団法人コワーキングスペース協会
一般社団法人コワーキングスペース協会の会員に興味のあります人は、活動内容のページをご覧の上、入会申込ページからお申し込みください。
--------------------