コラム

海外ビジネスに特化したコワーキングスペース「海外ビジネスコミュニティスペース DIGIMA BASE」について、運営者の小林さん・岡崎さんにお話いただきました。


海外ビジネスに特化したコワーキングスペース「海外ビジネスコミュニティスペース DIGIMA BASE」の小林さん・岡崎さんにお話いただきました。
日時:2019年2月27日(水曜日)
会場:海外ビジネスコミュニティスペース DIGIMA BASE


—小林さん

DIGIMA BASEのコミュニティマネージャーを務めます小林と申します。よろしくお願いします。私は出身が福島県で、2018年に上京しまして、同年8月からDIGIMA BASEの運営をしています。本日は、DIGIMA BASEの概要・コンセプト・取り組み・運営体制、海外ビジネス支援プラットフォームDigimaについて、これまで開催したイベントやセミナー、ご利用いただいている会員様の紹介、半年間運営してみて分かったこと、これからコワーキングスペースを運営する方へのメッセージをお伝えしたいと思います。

DIGIMA BASEの名前は長崎の地名、出島からとっています

「DIGIMA BASE」という名前は、「現代に出島を再び」ということで長崎の地名、出島に由来しています。鎖国状態の江戸時代、長崎の出島は日本にとって唯一世界に開かれた場所でした。出島を通じて海外からもたらされた情報や技術は日本に大きな影響を与えたと言われています。

日本に対する想いでつながり助け合えるコミュニティづくりを目指して

DIGIMA BASEは現代の「出島」となるべく生まれた、海外ビジネスに特化したコワーキングスペースであり、世界市場に挑戦する日本企業の創出を目的としています。世界は一人や個人、個人や一社では到底太刀打ちできない大きなマーケットです。自社の利益や損得だけでなく、日本に対する想いでつながり、お互いに助け合うことのできる国家も企業も越えたコミュニティづくりを目指しています。

DIGIMA BASEは海外ビジネスに特化したコンセプトを掲げています

コンセプトとしては、海外ビジネスに必要な学び、出会い、仕事場の3つを提供することを掲げています。学びに関してはDIGIMA BASE主催で毎月3~4回海外ビジネスに関するセミナーをおこなっています。出会いに関しては海外ビジネスパーソン、海外ビジネスに従事する方を中心にお集まりいただき交流会を毎月開催しています。いつも非常に個性的な方が集まり盛り上がっています。最後に仕事場ということで、個人の使い方に合わせたワーキングスペースを大きく分けて3パターンで提供しています。

KFSの強みは、あらゆる面から中小企業の経営者様のサポートできること

DIGIMA BASEは2社で合同運営をしています。1社目は私が所属していますKFSグループです。こちらはグループとして5社経営しており、福島県福島市に本社を置く税理士法人を母体とした企業です。KFSグループはお客様を中心とした包括的な中小企業経営のサポートを提供しています。税理士法人として税務業務や経理代行。財務コンサルティング、資金調達、チームビルディングなどの組織開発サポートをしているKFSコンサルティング。投資やIPO支援を担当する未来経営パートナーズ。法人向け保険を取り扱っているライフ設計。そしてコワーキングスペース運営のDIGIMA BASEということで、あらゆる面から中小企業の経営者様をサポートをさせていただいています。

—岡崎さん

もう1社が株式会社Resorzです。こちらに関しては、私株式会社Resorzの岡崎から説明させていただきます。よろしくお願いします。

Resorzは海外ビジネスの支援に特化した企業

株式会社Resorzは、海外ビジネスの支援をおこなっている企業です。Digimaというウェブサイトを主体にサービス展開をしています。Digimaのミッションは「グローバル市場で成功する日本企業を1万社つくる」ということです。

日本は現在どんどん人口が減少しており、それに伴い消費者もどんどん減っています。そんな中、新たなマーケットを求め大企業だけでなく中小企業も海外に進出する時代に突入しています。世界ではFTAなどの経済協定の促進や越境ECなどのサービスが展開され、急速に国境を越えた市場のフラット化が進んでいます。これからのターゲットは世界であるというのは間違いなく、世界市場をターゲットにした事業戦略が不可欠になってくると考えています。

ただ、グローバルで成功している日本企業というのはまだまだ少ないと感じています。私自身オーストラリアで日本食や日本酒を広める仕事に2年ほど携わっていました。オーストラリアで日本食は流行ってきているものの、成功している企業は中国や韓国出身であることが多く、まだまだ日本企業が進出してきていないという印象でした。

その経験から、世界中で日本企業を成功させたい、日本のすばらしい文化や歴史を世界中に広めたいという想いを元に、海外進出を検討している日本企業様向けに海外進出にまつわる様々なサービスを提供しています。日本を元気にするために、日本企業のグローバル化を成功させることをミッションに運営しています。

Digimaは海外進出したい方とそれを支援している方をマッチングするサービス

実際に提供しているサービスとしては、Digimaというウェブサイトを運営しており、これから海外に展開したいと考えている方と、海外ビジネスを支援している方をマッチングさせるサービスを提供しています。具体的には、各国の政治経済のニュース記事や進出するためのノウハウ記事の配信、DIGIMA BASEで海外ビジネスに関わるセミナーの開催をしています。海外ビジネスEXPOという展示会も開催しており、毎年11月に東京、12月に大阪、今年は福岡でも開催する予定です。海外ビジネスEXPOには、様々な海外進出の支援をしている専門家の方々が集まりセミナーを開催する他、直接海外ビジネスに関する相談をすることもでき、事前申し込みが必要ですが、入場は無料です。

他にも、海外視察ツアーのアレンジを提供しています。例えば中国にラーメン屋を作りたいという話があれば、どの辺の地域にニーズがあるのか、店舗物件や従業員はどうするのかという問題に直面すると思います。それを解決するために最も効果的な現地視察ツアーを設計し、現地企業とのアポイント代行・専門家のご紹介するサービスを行っています。

海外ビジネスの研修のアレンジサービスでは、海外に進出したいけれども全く海外のことが分からないという方向けに、基本的な情報を勉強していただく海外ビジネス研修サービスも提供しています。現在132か国700社以上の提携企業と連携して、海外進出をサポートしており、今期で11期目です。今まで15000件以上の海外ビジネスにまつわる相談をいただいた実績があります。

2社で合同運営することで、DIGIMA BASEにしかない魅力が生まれました

—小林さん

このような形でKFSとResorzの2社合同で運営しています。KFS単体ではコワーキングスペースの提供と日本の中小企業向けの支援しか出来ませんでしたが、Resorzさんにご協力いただくことで海外進出支援サービスを日常的に提供できる場所になりました。両社のオフィスも併設しており、利用者様から相談があればすぐに対応できる状況が整っています。

DIGIMA BASE施設に関しては、ワンフロア全てがコワーキングスペースですが、全体でおよそ100坪、108席のワークスペースがあります。大きく分けて3種類の席があり、オープンスペースが75席、奥に作業に集中していただけるサイレントスペースが29席、さらにその奥にクローズドスペースということで個室利用ができるスペースがあります。それ以外に会議室が2種類、4名で利用できる会議室が2部屋、10名で利用できる会議室が1部屋あります。オープンスペースを区切って、イベント利用やセミナースペースとしています。オープンスペースをカーテンで区切って、A・B・全面利用という3パターンでの利用ができます。

セミナーは「海外ビジネスに特化したもの」「国内中小企業向け」の二本柱

これまで開催してきたセミナーやイベントは、例えば「海外ビジネス失敗事例公開!海外ビジネスを成功に結び付けるために必要なこと」ということでこれから海外進出を検討している方にDigimaだからこそ寄せられる相談の中から失敗事例を公開して、それに対してどう対応すればいいかということをお話する、非常に具体的なアドバイスができる海外ビジネスに特化したものを行いました。他にも、海外ビジネスにおける資金調達、海外販路拡大のための越境ECセミナー、海外人材活用に関するセミナーも開催しました。後者は職人さんを対象としています。職人さんは、海外進出やビジネスに関するリテラシーがないことも多く、それを専門にサポートしている企業様にお話をしていただきました。他にも国に特化したセミナーも開催しており、先日はベトナムに関して現地の最新情報などをお伝えしました。

MEET UP BASEといって、サポート企業様と海外進出したい方などが一堂に集まり、多い時では100名規模での交流会も行っています。

KFSが主体となった国内中小企業向けのセミナーでは、RPAという技術を使った業務改善のセミナー、人材採用に関する新たな提案、中小企業と非常に意識の高い学生をマッチングさせる交流会などもおこなっています。

会員様は、様々な国に関わるビジネスをしている方々

実際にDIGIMA BASEをご利用いただいている会員様をご紹介します。インタビューにもご協力いただきました。進出支援企業様としましては、AGS様、ワンストップベトナムの進出支援をさせている企業様です。他にもシンガポールの進出支援をされている方、ベトナムやインド・台湾の人材紹介をされている企業様にご利用いただいています。

会員区分は大きく4つに分類されます。コワーキング会員は月額でご利用いただく会員様です。ドロップインは時間でご利用いただく方、後ほどご紹介しますサロン会員、海外ビジネス支援企業はDIGIMA BASEでセミナーなどを開催していただく方を指します。ただし、セミナーは海外進出情報だけに限定しているわけではありません。

DIGIMA BASEの特徴はセミナー参加とネットワーキングがメインのサロン会員という会員区分

特徴的なのが、サロン会員です。サロン会員はセミナーやイベントに無料で参加いただける会員区分です。他のコワーキングスペース様ではあまり見ないかもしれません。料金体系としては月額料金ですがワークスペースを利用されるコワーキング会員よりも安価で、情報収集・ネットワーク構築としての利用を目的とされている方向けです。サロン会員になっていただくと、会員様限定の情報発信、資料や映像コンテンツの提供をおこなっています。ワークスペースも毎月10時間無料で使えますので、セミナーだけでなくお仕事や交流もでき、DIGIMA BASEのお試しというイメージに近いかもしれません。

実際に運営してみると、想定外のことがたくさん起こりました

半年間運営する中で、明確なルールとそれを守る環境づくりの大切さを痛感しました。オープン前には十分詰めたつもりで規約やルールを作りましたが、実際に運営してみると想定外のことがたくさん起こりました。例えば利用時間に関して、10時~19時までがドロップインでご利用いただける時間帯で、月額会員様は21時まで使えるのですが、内見に来る方のお話では9時から使いたい、海外向けのビジネスをしているので時差の関係で遅い時間まで使いたいという方もいらっしゃいました。

利用料金に関しては、ドロップインは1時間400円なのですが、延長料金は何分刻みが最適かの判断がとても難しいと思います。始める前は当然1時間だと思っていましたが、実際にやってみると30分刻みの方が利用者様にとっては使いやすく、その分長く使っていただけるのではないか、といった課題がでてきました。何分オーバーすれば超過扱いにするかなど、細かいですが意外と見落としていた問題がたくさんでてきました。

貸出品や消耗品に関しても、どこまでを提供してどこからは個人で準備していただくのか。ドロップインの方はいいのですが、月額会員様で長時間利用される方、個室を利用される方の場合、消耗品は無料で貸出する物と有料で購入いただくものを明確にする必要があると感じました。きちんと細かいルールが定められていることで、スタッフが迷わず正しい判断ができるのです。

そして大切なのが、ルールを守る環境づくりです。時間に関してはきっちりと守っていただく。運営していると、もう少し長く使っても問題ないと思うこともありますが、その点はしっかりと線引きして運営する環境づくりが大切だと感じました。

オープン前に、会員様の気持ちになってあらゆるシュミレーションを

そこから連動して、様々な区分の会員様の気持ちになって、それぞれシュミレーションすることが重要です。例えば、ゲストの利用枠の活用の仕方に関して。DIGIMA BASEはゲスト利用枠が多く会員様にとってはメリットとなるポイントです。具体的には会員様1名に対してゲスト1日5名、3時間まで使えます。単純に打ち合わせをして帰っていただくイメージでしたが、実際には色々な使い方をされる方がいらっしゃいました。例えば、講師をされている先生が生徒さんをゲスト枠で招待して3時間使って指導をするケースもあり、それは想定外でした。インターン生をゲスト枠に入れて3時間働いてもらうというケースもあました。スタートしてから改善した部分も多いのですが、これからオープンする方は事前に十分に検討と検証をしてください。

ドロップインを含めすべての利用者様に会員登録をしていただく

その他に事前に想定しておくべきだと思った点は、ドロップインの利用者様で、ここで打ち合わせをしたいという方に対する対応です。DIGIMA BASEは当初ドロップインを含め来られた方全員に、300円で会員登録をしていただいていました。そうすると打ち合わせに来て頂いた方にまで会員登録をしてもらう必要があるため、それをあまりよく思わない利用者様もいらっしゃいました。しっかりと利用者様の情報を管理することで何かトラブルがあっても適切な対応ができると考え、全てのお客様に会員登録いただくことを前提として運営をスタートしましたが、現在は入会金無料で代表者1名が会員登録されていればご利用できるように変更しています。このあたりは、しっかり検討すべき点だと思います。

イベントをすることで、ワークスペースが利用できなくなってしまう

イベントスペースとして利用する場合、交流を求めている方はいいのですが、純粋にワークスペースを求めている方は利用できる時間が減ってしまうことになります。その部分をどのようにケアしていくかも重要だと思います。

私は元々飲食店で店舗責任者をしていたのですが、考えてみるとそれと同じでした。飲食店でも特にお酒を提供している店ではワイワイ騒ぎたい方もいれば、ゆっくりと過ごしたい方もいます。店舗側としては、全ての方に楽しんでいただきたいですよね。コワーキングスペースもそれとも同じで、様々な利用者様がいらっしゃる中でしっかりとその間をとって、皆様にご満足いただくことを目指しています。

すべてを完璧にすることは難しいですが、できる限りご要望を想定しながら対応策を詰めておかないと、いざという時に対応できないということになってしまいます。

理想は全てのスタッフが月額会員様の状況を把握していること

スタッフにいかに会員様の情報を共有するかということが、現在の課題です。スタッフによって出勤の頻度や時間帯も異なりますが、会員様ご自身は長くスペースにいるため当然自分のことはわかってくれているとお考えになるかと思います。常駐のマネージャーの場合はそれができるのですが、アルバイトさんの場合は難しいのが現状です。

理想としては、全てのスタッフが全ての会員様の顔や利用スタイルをわかっていて、受付でスムーズに対応できることだと思っています。会員様にできるだけお手間をとらせず有意義な時間を過ごして頂けるように、運営側としては常に意識をしてスタッフの教育をしていきます。

ターゲットを明確に、その方のためにどのようなサービスを提供するべきか

これから運営される方へのメッセージとしては、スペースのターゲットがどのような方なのか?どのような方にご利用いただきたいのか?そのためにどういった施設・設備で、どのようなサービスを提供すればいいのか?ということをしっかりと考えて取り組んで欲しいということです。また運営の相談できる方がいるというのはとても心強いことです。私がDIGIMA BASEの運営を開始した時点では、このコワーキングスペース協会の存在を知らなかったので、オープン前からこういったつながりを持っている方はうまく活用して、様々方のお話を参考にしていただきたいと思います。

ありがとうございました。


この記事は一般社団法人コワーキングスペース協会が主催するコワーキングスペース運営者勉強会でお話いただいた内容をもとに作成しております。

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