イベント・勉強会レポート

「コワーキングスペース&シェアオフィス AREA358」を運営する有限会社シーピーエス 横堀さん、作美さん、オフィスプラス株式会社 出浦さんにお話いただきました(第86回コワーキングスペース運営者勉強会®)


埼玉県本庄市で「コワーキングスペース&シェアオフィス AREA358」を運営する有限会社シーピーエス 横堀さん、作美さんにお話いただきました。

日時:2022年5月26日(木曜日)19時~20時
場所:コワーキングスペース&シェアオフィス AREA358(オンライン配信も同時開催)

今年、2022年の1月11日より埼玉県本庄市にオープンした、「コワーキングスペース&シェアオフィスAREA358」の運営責任者の横堀と申します。今日は、私たちがどんな思いでこのスペースのオープンに至ったのか、そして今後どういったことを考えているのか、オープンまでの経緯などを含めてお話したいと思います。

(作美さん)
一緒に登壇させていただく、作美恵子です。どうぞよろしくお願いいたします。
私は有限会社シーピーエスに入り、20数年が経ちました。現在は、AREA358のコミュニティマネージャーという形で受付をしております。元はパソコンスクールの講師で、講師歴が20数年です。コワーキングの勉強会というのは初めてなので、本当にありがたい機会をいただきドキドキワクワクで当日を迎えております。こうした感じで横堀に差し込みつつ離れつつ、フォローに入らせていただきます。

コワーキングスペースのオープンは「人生をかけた勝負」

教材販売からの事業転換

私たちの法人は有限会社シーピーエスと申しまして、創立が1998年です。
法人を立ち上げたのは2001年で、かれこれ20数年になります。元々はパソコンの教育事業を行っており、「誰でも簡単パソコン教室」という触れ込みでフランチャイズとして1998年にオープンしました。パソコン教室以外にも教材の製本業を始めるなど色々やってきましたが、今年の1月に人生をかけた勝負ということでコワーキングスペースをオープンしました。

簡単に自己紹介をさせていただきます。2001年に法人化し、フォトブックの全国展開など多数の事業を経験して現在に至ります。フォトブックはパソコン教室教材として、全国の700〜800店程の代理店を通じて販売した経緯があります。製本会社と提携して行っていたのですが、紙の業界が厳しくなり、どんどん先細りをして外注先がなくなってしまいました。そのため、事業を中止して転換を図っています。

今までは本庄駅の南口に本社を構えていましたが、1月に北口のこちらに本社もパソコンスクールもフルコミットして、コワーキングスペース内に吸収させた形です。コワーキングスペースとシェアオフィスを地方で単独事業として運営していくのは厳しいだろうという状況の中で、まずはどういった形で地域の方に認知していただくかという仕組みを作るために、今は主にパソコンスクール・IT教育・DX支援などで生計を立てております。今はコワーキングで収益を図っていけるよう、仕組み作りを行っている途中です。

私の好物はコーヒーとワイン、趣味は料理と音楽です。これらもコワーキングで色々と発信することに繋がっているので、後ほどご紹介させていただきます。

運営会社のミッションは、『私たちは人々にテクノロジーの便利さを伝え、”活用できる”人を創出し、地域社会に貢献する』。これが私たちの目指すべき場所、コンセプトとして掲げています。パソコン教室やDX支援、今回のコワーキングなど全てにおいてこれが大きな源、私たちの存在意義です。

副業人材活用プラットフォーム「Skill Shift」の運用

幸いにも本庄商工会議所様から委託を受けて「本庄商工会議所パソコン教室」という名前で広報させていただいたり、地域の中小企業に副業人材マッチングサービスというのを提供したりしています。最近、“副業人材活用”という言葉をプレスやマスコミでお聞きになると思います。都心のベンチャー企業や大手企業が副業を解禁し、政府もそれを後押ししています。

地方の中小企業がそうした方々を活用できるように、「Skill Shift」という副業人材活用プラットフォームのパートナーをしています。地方の中小企業のDX支援や広報をはじめ、色々な事業において支援をするという少し特殊な仕事です。

実は、私たちもSkill Shiftに「地方のコワーキングの運営を助けてください」という形で掲載していまして、10日経って17人程の応募がありました。先日は東京都内でコワーキングスペースをされている元大手芸能事務所の方と面談しましたし、25歳程のベンチャー企業の社長や大手IT企業の社長、副業者の方などにご応募いただいています。こうした面白い方々と繋がるプラットフォームの運用をしている側面もあります。

人生に色々なきっかけをくれた地域の商工会議所青年部活動

私は今まで、地域活動をやってきた経緯があります。県の商工会議所青年部の副会長と本庄の商工会議所青年部の会長を歴任したり、今は青年部のOB会の会長をやっていたりと、仕事以外では青年部にどっぷり浸かっているような人生を送ってきました。

このコワーキングを立ち上げるにあたっても、建設やインフラ整備などを青年部の仲間が協力し合って構築してくれています。実は、このビルも青年部の先輩が所有するビルなんですね。ここをお借りできたというのが、この場所で事業を行うきっかけになったところもあります。青年部活動は今までの人生において色々なきっかけを作ってくれた活動なので、お話しさせていただきました。

コロナ禍で膨らんだコワーキングスペースのイメージ

このコワーキングスペースに初めて入った方に「本庄らしからぬ感じだね」と言っていただくことが多いです。実は、私がこのコワーキングを立ち上げようと考えたのは6、7年前。2015年に大宮でコワーキングスペース7Fを運営している星野さんと初めてお会いした時に、コワーキングスペースをやろうと思っているという話をさせていただきました。

コワーキングスペースが本庄にあったら面白いなと思ったきっかけは、自分自身が利用者だったからです。様々なコワーキングスペースを利用して、利便性はもちろん、面白い人がたくさん集まってくるということを知りました。「これをぜひ地元に持って行きたい」という思いで作ってみたものの、思うようにいかないと思案しているうちにコロナ禍に突入。ただ、コロナ禍で自分のコワーキングスペースへのイメージがどんどん膨らんでいきました。

ワークスペースだけだと難しいので、少しカフェ寄りの、ライブもできるスタジオ的なもの。色々な要素を織り交ぜながら次のイメージを考えていました。

コロナ禍で膨らんだコワーキングスペースのイメージ

  • ジャズが流れるオフィス
  • 疲れた時にはバーカウンターで美味しいコーヒーを飲みながら絵画を眺める
  • コミュニケーションマネージャーとの会話を楽しむ
  • パーティーやミートアップなども行い、新たな出会いを創出する
  • 週末にはライブやマーケットも開催される
  • 遊ぶように働く場所、仕事が楽しくなる場所、みんなが幸福になる場所、生産性が上がる場所
  • 新しい働き方、生き方、新しい時代を生きる勇気と力を提供する場所

今、このイメージに少しずつ近づけて構築している感じです。私たちのステータスとして、BGMでジャズを流しています。

幸せを届けるラッキーナンバー

皆さんに「AREA358の358って何?」とよく聞かれます。ネットで検索するとすぐに出てきますが、この358はエンジェルナンバー幸せを呼ぶ番号などといわれていて、色々な逸話があります。

「皆さんに幸せを運ぶ場所にしたい」という思いや、「area358.com」というドメインが取れたことなど、様々な理由で358にしました。私の車のナンバーも358です。先日財布を落としたのですがすぐに見つかったり、会員も財布を落としてすぐ戻ってきたりと、358にして良かったと思う出来事がありました。皆さんに幸せを届けるラッキーナンバーとして358にしています。

AREA358のミッション

地方の中小企業と首都圏の大企業とのデジタル格差解消

これは私が肌で感じている、一番解決したい部分です。埼玉県の中でも北側と南側では状況や情勢が全然違います。本庄市はほとんど群馬です。人口は7万8千人。JR高崎線と上越新幹線があるので非常に便が良い町といわれています。JR高崎線の乗降客数は2万人程。関越自動車道の本庄インターもあるのでアクセスは非常に良く、外部から人が流れて来やすいところもあります。

歴史を遡ると、本庄には中山道の宿場町というものがあり、人が流れていく町なんですね。今もその経緯は変わらず群馬の方々が流れてきますが、人口8万人程度の地方の田舎町です。南側とは状況が全然違います。温度差がすごくある。先程お話した副業人材活用も、格差を少しでも解消していくために行っていることの一つです。このコワーキングスペースは、主に都心でデジタルを活用している方や、移住してきた方に利用していただいており、地域貢献にも繋げています。

地方資産を活用し、課題を解決

実は私たちは、こちら以外にも空き家を一軒借りており、今後の活用を考えています。畑がたくさん余っているため、農業分野にも取り組む予定です。今日は協力してくれるIT農家の方もいらっしゃっていますので、後程ご紹介します。空き地・空き家・空きビルの問題、そして耕作放棄地問題なども解決していきたいと思っております。こうした問題は、一見ネガティブに捉えがちですが、地方にはこうした資産があるとプラスに考えています。

新しい働き方の提案

  • テレワークの推進・雇用促進
  • 生産性向上のための仕掛け(オフィスのイノベーション)

テレワークの推進・雇用促進に関しては文字の通りです。生産性向上のための仕掛けとして、私たちはエスプレッソコーヒーを提供しています。地元のコーヒーの焙煎屋と「集中できるコーヒーを作ろう」と言って、何ヶ月もかけてAREA358のオリジナルブレンドコーヒーを作りました。生産性向上のために「集中するためのコーヒー」というテーマを置いています。

先程BGMでジャズを流しているというお話をしましたが、音楽が流れている方が集中できる方と、音楽が流れていると雑念が入ってしまうという方の2パターンに分かれます。音楽が流れている方が外の車の音などが上書きされるから良いという方々は、ジャズが流れるエリアを使うことによって集中力が増すんですよね。これは私たちも実感していますし、実験結果でも出ているというお話を伺っています。生産性が上がる環境は人それぞれなので、集中できる部屋と少しざわつき感のある部屋を分けている形です。

エンタメやアートも仕掛けの一つ

地方でコワーキングスペースだけの運営は厳しいということで、色々な交流やコラボを進めています。週末はワークスペースとしての稼働率が低いため、週末ライブ計画ということで、ジャズライブやフラメンコのライブなどを行っています。DXに関するセミナーなども行いますが、週末はこうしたエンターテイメントも取り入れながら、地域の方々にお披露目する機会を作っている最中です。

実は、ビル全体もアートビル、ギャラリーになっていることも仕掛けの一つです。私たちではなく、こちらのビルのオーナーがこうした仕掛けをされています。プレスリリースをかけたところ、3月26日と5月13日に日経新聞に取り上げられております。「空き店舗でビジネス創造」ということで、一般の方からは驚くほど反響がないのですが、金融関係や同業者の方々から反響をいただきました。

「交流深めビジネス創造」という記事。こちらは最後の方に説明しようと思っていますが、埼玉の県北地域、秩父や熊谷などのコワーキングと連携してこれから色々企てていこうということを取材していただいた記事です。

設立の動機と経緯

創業者としての苦労・経験を生かしたい

私が1998年に創業した時は、事業主としての経験が薄かったので結構大変でした。例えば、「青色申告って何ですか」と相談しても「顔が真っ青になってしまうことだよ」と茶化す先輩もいて、なかなか教えてもらえなかったんですよね。自ら書籍を読んだり、セミナーに行ったりして一生懸命勉強しました。

「これはもっとショートカットする方法があったのではないかな」と、あとから思ったんです。だから、創業支援を軸にやっていきたいと思いました。私は成果を上げている方の話を聞きたかった。私も少なからず20年程事業をやってきているので、そうした経験が皆さんの参考になればなと思い、まず拠点を作ろうと考えました。

様々なコワーキングへ相談

先程もお伝えした通り、私はコワーキングスペースの利用者でした。「コワーキングスペース7F」の星野さんやコワーキングスペース運営者勉強会でも使われていた町田の「BUSO AGORA」さんなど、色々なところに相談に行きました。九州まで行ったこともあります。皆さん相談を快く聞いてくださいました。「これからコワーキングを始めようと思っているんです」というお話をすると、本当にオープンに教えてくださるんですよね。
それを見た時に「私もこういう風になりたい」と思いました。「こういう方がコワーキングスペースをやるんだ。素晴らしい。これはハードではなくソフト事業だ」ということを感じて、更にやりたくなりました。地元の本庄にこうした所があれば通ったのですが、無かったので自分で作るしかなかった。これが理想かなというところをチョイスしながら組み立てていきました。

パソコンスクールとの親和性

コワーキングスペースは、ビジネスモデルとしてパソコンスクールの運営と近いところがあります。パソコンスクール自体も会員制ビジネスなので、生徒の募集をかけて集客し、ライフタイムバリューが長い方が安定するというビジネスモデルなんですね。

ただ、パソコン教室の場合は、皆さん入った瞬間に辞めることを考えるんですよ。勉強するために来ていますから、学んだら終わり。生涯教育として入って長続きする方もいますが、だいたいは資格取得や仕事のスキルを身に付けたいという方なので、入って半年後に辞めるという形になってしまいます。経営も常に新規顧客の募集をかけなければならないので、リピート戦略が難しかったんですね。

コワーキングスペースやシェアオフィスにおいては、環境を良くすれば入った会員の方が辞めずにいていただけると感じました。新規顧客の募集をかけることよりも、しっかり居心地の良い空間を作る方がプラスになると感じたわけです。

パソコンスクールでは、会員が200人や250人になることもありました。数が増えれば増えるほどサービスの質が落ちたり、先生の数が必要だったりということを経験した中で、ある程度の広さのコワーキングスペースでないと目指す空間作りが達成できないと分かりました。このフロアは230平米あります。前回のコワーキングスペース運営者勉強会で「今プラス」を運営している中野さんが紹介していた「中野の法則」と、星野さんの法則に基づいているつもりです。パソコン教室との親和性があること、会員制ビジネスでライフタイムバリューが高いことは、ビジネスモデルとして理想的だと思っています。

青年部活動が繋いだご縁

AREA358の広さを確保するということに関しては、非常に悩みどころでした。当初はこちらの場所でやる予定ではなく、「駅前の雑居ビルをDIYしてやろうかな」などと考えていました。先程このビルの所有者が先輩という話をしましたが、最初は運営相談から入ったんですよ。「うちのビルの1階が空いてるから何か面白いことできないか」「面白いって何ですか」「面白いこととはこういうことだ、ああいうことだ」と掘り出しながら。

そうしている間にコロナ禍に突入し、リアルで人を集めることができなくなりました。「では、オンラインサロンを作りましょう」と言ってオンラインサロンができたのですが、やはりオンラインだとリアリティがなくて密着性が高まらないなど、運営上難しい部分があると感じたんですね。「ここは私が覚悟を決めて進んで行かないと実行できないな」と思いました。誰かが責任を持ってコミットしていかないとできないと感じたので、オーナーに「僕にやらせてください」と伝えました。その際に次の文章を出したんですね。こちらは金融機関にも出しました。

“ご理解いただきたいことがあります。コワーキングスペースの利用料で考えると、大きな利益を生むというよりも、色々な役割の中でコワーキングスペースを通じて人と繋がることで、それ以上の価値を生み出せるソフト事業だと思っています。ご紹介で仕事に繋がったり、逆に仕事を繋げたり。コワーキングスペースはあくまでも手段であり、きっかけに過ぎません。その先にどういう方と繋がって事業を発展させていくか、これが私たちの事業です。”

「これがやりたいので、ハードを使わせてください」とオーナーに提案したところ、「よし分かった。やってみろ」と。元々商工会議所の青年部で色々な地域事業を一緒にやっていた先輩なので、志を共にできたところがあります。「家賃は?」「少しずつ上がっていく階段のようにしていこう」。このように「売上のごとく」と考えていただけたので、ここが成り立ちました。

このあと環境的なお話をしていきますが、非常に便が良いところなんですね。重厚感があるビルなので、「少し立派すぎるな。入りづらいな」と感じるお客様もいらっしゃるかもしれませんが、ご縁があったのでここを有効活用しようと思っています。こうした縁もあり、コロナが後押ししたということです。

イメージは「少年野球チームの監督」

このスライドの図は、私がイメージする”コワーキングのおやじ”なのですが、会員様と「横堀さんは少年野球の監督みたいなものですね」などと、お話することがあります。というのも、私は、創業者などの皆さんが活躍する姿や、ここで仕事をしている姿をビールを飲みながら斜で見ることに幸せを感じるんですね。これがやりたくてやっている。

ただ、スタートアップを目指す方やスケールしたい方がいらっしゃった時に、私は実際に上場していないのでそこまでの指導はできないわけです。少年野球で例えると、「大リーグに行きたいです」という子どもがいたら、「よし、私の知り合いの伝で行けるように、まずはプロ野球の知り合いを当てよう」というようなコネクションは作っておきたいと考えています。

さいたま市の財団や、MBAでスケールをする取り組みをしていらっしゃる熊谷のコワーキングスペース「DayOne」の原田さんなどとの繋がりを作っています。もし、スケールしたいという方がいらっしゃったら階段を上げてあげる、こうしたことがやりたい。私は少年野球チームの監督をやりたいと思いながらこの場を作っています。

施設紹介

(作美さん)
レンガ調の4階建てビルの1階が、このコワーキングスペースになっています。広さは、先程横堀が申し上げた通り、230平米です。2、3階には別会社が入っており、4階にはビルのオーナーが所有されているギャラリーがあります。道を挟んで反対側には大きいショッピングモールがあるので、色々と助かっております。今度の週末のイベントでもコラボさせていただく予定です。

(横堀さん)
地方は車の数=動員数のようなところがあり、イベントをやるにも駐車場がないと難しい、駅から近くないと難しいなどの問題があるんですよね。色々なところと提携しながらやっております。

(作美さん)
クラウドでプロの方に発注したパース図があるのですが、まだ何もない段階で最初にこれでチラシを作ったら結構反応がありました。ロゴとパース図があればある程度集客できるという経験をさせていただきました。

(横堀さん)
一番最初はこれから始まりましたね。設計の方に「これでお願いします」とパース図を渡しました。
コワーキングエリアは約35坪です。私の趣味の分野でもあるのですが、インダストリアル家具といって工業製品に近いものを置いています。コワーキングスペース運営者の皆さんがコロナ禍でコワーキングエリアをどういう形で運営されているかを見に行った時に、一人机を置いているところが多かったんですよね。時によっては繋げることもできる。小学校の給食の時間のように机を並べてご飯を食べるというような教育を受けているためか、皆さんはこれが居心地良いようで、絶対ソファでは仕事しないです。海外の方ならするかもしれませんが。家具は一人机を中心に置いています。

(作美さん)
受付カウンターには、ビルのオーナーの所持品であるバンクシーのシルクスクリーンの版画を置いています。AREA358では、ここがインスタ映えスポットです。

(横堀さん)
私たちのミッションとして、地域の文化を向上させたいという思いもあるので、アートや音楽を取り入れて、こうしたことに触れることも心の豊かさに繋がるということを表現しています。私もそんなに絵画に興味があるわけではないのですが、このバンクシーの絵にどういう意味があるのかを調べて、来ていただいた方に説明ができるようになりました。

(作美さん)
個室エリアは時間利用でも貸し出しています。1日集中して仕事したいという方、ZOOMや電話を利用される方にも使っていただいております。2坪の部屋が5つです。他には電子錠で区切られた固定ブースもあります。
会議室エリアはパソコンスクールを行うこともイメージして、コワーキングエリアとは違う雰囲気にしています。YouTuberの方に「ここでコワーキングスペースをバックにしてYouTubeやってみたら良いと思いますよ」と推してみたら、とても気に入っていただきました。

(横堀さん)
私たちの会社は教室運営の歴史が長いので、奥は全面をホワイトボードにしたり、多目的に使えるように机は折りたたみにしたりなど、色々と工夫をして作り上げました。
ビルの最上階、4階はギャラリーになっています。オーナーが絵を楽しみながら仕事ができるギャラリーコワーキングを作りたいということで、コワーキングやシェアオフィスとしても貸し出しています。恐れ多くて借りられないという方も多いのですが、高級感のあるプレミアムなコワーキングスペースをオーナーが別の会社で運営しています。受付業務は私たちが委託を受けて行っています。
先程違う場所に一軒家を借りているというお話をしましたが、15坪程の2階建ての空き家があります。飲食店の営業許可を取った矢先にコロナに突入したので、そのままになっています。商工会議所の会議にも使っていただいています。こじんまりとしたカフェのようなものをもっているので、今後こちらと連動して展開を図っていく予定です。

オプションサービスについて

(作美さん)
弊社にはパソコンスクールの講師が多数おりますので、パソコンが得意ということを活かして秘書代行サービスも行っております。こちらでも結構お問い合わせをいただいています。

(横堀さん)
これがうちの売りでもありますよね。面白い事例もあります。私が外で営業し、Webサイト作成を会員のWebディレクターの方にお願いしたのですが、それを同じく会員のコンテンツマーケターの方と分業することになったんですね。そのコンテンツマーケターはフリーランスの方で、「忙しくなったので会計やってもらえませんか」と言って、私たちに会計業務の依頼をいただきました。ぐるっと回って、この中で経済効果が出ているという事例です。
弊社には専属カメラマンもおります。ここはLANも引けてネットが早いこともあり、イベントをする時にライブ配信を行っています。元結婚式場のカメラマンで色々な機材を持っており、そのリソースを活用しようということで、個室を使って撮影や編集をしています。外部からも少しずつ仕事をいただいていますし、出張もできますので、皆さん何かあればぜひよろしくお願いいたします。
また、外部人材活用の「Skill Shift」という私たちも応援しているサービスですが、今弊社も掲載されていますので、ぜひご覧になってみてください。面白い方がたくさん応募してくれるので本当におすすめです。

AREA358で開催するセミナー・イベント

(横堀さん)
先日はDXのセミナーを行いました。この時の登壇者は「アダコテック」という外観検査のAI技術をもっている製造業の会社の方でしたが、他にもベンチャー企業のトップの方なども来られます。「横堀さんはなぜこういった方達と繋がっているのですか」とよく質問されますが、これは副業人材活用の縁です。そのため、DX関係のセミナーのゲストには困らないですね。
直近では、ジャズのライブも開催します。ここは、音を出せるということも売りです。土日は上に誰もいないですし、重厚感のあるビルなので音を出しても苦情にならないですし、その面は恵まれています。元々私が音楽を少しかじっていたこともあり、これもやりたかった夢の一つでした。アーティストの方々がそれぞれファンを抱えているので、イベント情報を公開するとすぐにSOLDOUTになります。集客力がすごいです。このように、このコワーキングスペースを知っていただく仕掛けをしています。
ママと子どもたちが集まるようなイベントも行います。クラフトは地方ではとても集客力があるため、目の前の大きな雑貨屋さんと提携し、そこの駐車場と、こちらの屋内会場でワークショップなどのイベントをします。

(作美さん)
このイベントで提携している団体様はたくさんのファンがいて、Instagramのフォロワー数もすごいです。皆さんがメンションしてくださって、弊社のアカウントへのアクセスも非常に増えまして、CMをしていただいているような有難い感じです。

運営の現状

システムに関しては、地方なので無人化を進めていません。有人化を行った上でどうシステム化していくか、今スキームを考えているところです。必要なところは当然システム化していますが、今はコミュニケーションマネージャーが一人ひとりの状況を見ながら進めています。これがコミュニケーションの由縁であり、人との繋がりを軸に受け付けをしているということになります。

広報活動はSNSをはじめ、本庄商工会議所の会報に載せていただいたり、行政にも本庄市テレワーク拠点としてご紹介いただいたりしています。今後は創業スクールとの連携も図っていく予定です。

収益計画

収益計画については、皆さんがとても気になる点だと思います。今、私たちがどういった収益で運営しているかというと、コワーキングスペースとシェアオフィスの収益は全体の約10%です。収益のほとんどがスクールの事業とDX支援、それに関連する事業です。イベント収益も含まれます。約6割はスクール事業が占めている。流動売上も含めて、だいたいこういった構成です。

私たちはストック化をしていくことを考えているので、理想の図があります。フェーズ1〜3に分けているのですが、固定費がコワーキング事業で賄えるという形を取れたら、ここを分社化したり場所を変えたりと、次のフェーズに行けるのかなと思っています。ストックビジネスを上手く活用し、教室と連動していくような仕組み作りを行っています。

今後の展望

これからメインにやっていきたいことをお話します。

事業提携(事業の掛け算)

人や会社、団体との繋がりを作りたいので、事業連携・事業提携をスピード感をもってブーストしていきたいと思っています。仕事は人と人が繋がって何かを生み出す、新規事業を創出するということが肝だと思っていますので、そうした場づくりは鉄板で進めていきたい事業です。

新しいOFFICEの提案(家具・絵画・サブスク)

あとは新しいオフィスの提案。こだわりが強い家具は趣味的な分野でもありますが、生涯にわたって色々な形で使えるオーダーメイドの家具など、事務所のスタイルを変えていきたいと思っています。従来のスチール机も長持ちするので良いと思いますが、私たちは新しい働き方に基づく仕組み作りと、物理的なものを提案していきたいと思っています。生産性向上のためのオフィスです。

創業支援・スタートアップ支援・ビジコン・ライブスペースの拡充

創業支援やスタートアップ支援は先程お話した通りです。それに基づいてビジコンも行っていきたいです。ライブの集客が図れれば、ライブスペースも充実させようと思っています。

農家のリブランディング

今、具現化している面白い試みがあります。Instagramのフォロワー数が多く、ブランディングができている「みのりファーム」という農家さんがいます。本庄出身でさいたま市に住んでいる方です。平日は親御さんが作業されているのですが、ご高齢ということもあり、体に負担がかからないように土日に手伝いに来ていらっしゃいます。彼は元々エンジニアで、プログラミングをして水やり装置を作り、遠隔で水やりをしているんですよ。

私たちは以前、プログラミングスクールをやっていたので、その関係で彼と知り合いました。今でもお付き合いがあり「今、畑はやっていないのですか?」「今は自家消費する程度です」と話していて、ファンが多いのにもったいないと思いました。

「みのりファームをリブランディングしましょう」ということで、先程お話した空き家でテクノロジーを駆使した無人販売を始めようと思っています。今はウェブカメラなどが安価で手に入りますし、課金方法は実験しながら行っていこうと思っています。

農産物の無人販売は文化的にこの辺りでも定着しているため、その形を少し変えて新規事業としてできないかなと考えています。もう野菜はできており、6月から始めようと計画しています。まだ具現化はできていませんが、私はワインも好きなので、野菜とワインのバーもできれば良いなという方向で考えています。

連携企業・団体紹介

(横堀さん)
現在埼玉県の北部を中心に、埼玉北部連携という形で「地方の在り方っていうのはこうだよね」というような広域連携の在り方を具現化しているところです。
オフィスプラス株式会社の出浦社長は、秩父市でコワーキングの運営だけでなく建設会社もされていて、実はこちらのコワーキングも出浦社長の会社にご協力いただきました。

■オフィスプラス株式会社

(出浦さん)
本庄よりもさらに山の中の秩父市というところで、「働空間(はたらくうかん)」というコワーキングスペースなど、計5ヶ所を運営している出浦です。私は6年前に「和空間多豆(わくうかんたず)」というコワーキングスペースを始めまして、縁があって本庄に辿り着きました。熊谷・秩父・本庄で良い連携ができればいいなと思っております。皆さんご興味ありましたら、ぜひ埼玉県の北部に来てみてはいかがでしょうか。

■本庄商工会議所

(佐藤さん)
本庄商工会議所の佐藤と申します。私は青年部や青年部OB会の事務局をしていたり、偶然にもこの建物の目の前が自宅で、以前洗濯物を干しているところを見られたりと、横堀さんとは不思議な縁があります。先程の横堀さんの熱い思いを聞いて、今後も伴走型の支援と言いますか、一緒に歩んでいけたらいいなと思っております。
先程もお話が出ましたが、本庄商工会議所のパソコン教室を委託させていただいております。コロナ禍で収益が落ちるなど色々ありますが、今後どういった方向性でやっていけると良いか話していきたいですし、会議所としてどのような支援・集客で携われるかなと日々模索しています。今後もお付き合いしていけたらと思いますので、よろしくお願いします。

■本庄市役所商工観光課

(出牛さん)
本庄市役所商工観光課の出牛と申します。出浦さんのコワーキングには、2年半程前に視察で行かせていただきました。横堀さんのところも、行政が作るのではなくて補助という形で、コロナの交付金や多様な働き方環境整備補助金などの活用のお手伝いをさせていただきました。その後、他のコワーキングも開いていますが、まだ新しい働き方が浸透していない部分もあるので、行政としても引き続き一緒にそこを変えていければと思っています。

本庄駅北口周辺整備計画はまだ基本計画ができたばかりなのですが、本庄市として古い街並みが残っている本庄駅北口エリアをどういった形に整備していくかを考えるタイミングにきています。そちらでも連携したいと思っていますので、引き続きよろしくお願いいたします。

(横堀さん)
商工会議所と行政の若い2人にも支援していただいています。やはり、単独運営というのは難しいと思います。人口が少ない中でもコアターゲットを決めながら、共にやっていければと思っております。

目指すは「喫茶店のマスター」

最後に私の将来についてなのですが、喫茶店のマスターを目指そうと思っております。コーヒー好きということもありますが、「横堀さん、創業して上手くいったよ」という皆さんの話をコーヒーを飲みながら聞けるという場所ができればいいなと思っています。

最初にお伝えした通り、実績的には乏しい状態ですが、着実にその道に進めるように皆さんのお力添えをいただきながらこの業界を盛り上げていきたいと思っています。ご協力、ご支援の程よろしくお願いいたします。以上で紹介を終わります。ありがとうございました。


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