コラム

株式会社bajjiが運営しているコワーキングスペース「BUTAI(ブタイ)」について、株式会社bajji COOの濱田淳様にお話いただきました。(第64回コワーキングスペース運営者勉強会®)


ブロックチェーンを活用し、人との関係性を見える化するSNS「bajji」を開発・提供する株式会社bajjiが運営し、2020年1月に浅草橋にオープンしたインキュベーション&コワーキングスペース「BUTAI」の濱田淳様にお話いただきました。

日時: 2月27日(木曜日)19時00分〜21時00分
会場: BUTAI
    Web会議サービスツールZoomを利用したオンライン開催

株式会社bajji COOの濱田淳さん

株式会社bajjiの濱田と申します。株式会社bajjiはコワーキングスペース「BUTAI」を運営している会社です。
第64回コワーキングスペース運営者勉強会の会場としてBUTAIをご紹介できればと考えておりましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、今回はオンラインでの開催となりました。
本日は、BUTAIのスペース紹介だけでなく、同スペースで行っているインキュベーションの事例紹介もさせていただきたいと思います。

まずは、自己紹介をさせていただきます。私は、以前は照明メーカーに勤めており、その時に会社から援助を受けて、大前研一さんが代表を務めるビジネス・ブレークスルー大学という社会人大学に入学し、ビジネスを学びました。そこで教鞭をとっていたのが当社代表の小林です。その後、小林が創業した仮想通貨取引所で部長を務めたのですが、「金融とは関係のないところでブロックチェーンを使ったビジネスを興そう」ということになり、小林と一緒に株式会社bajjiを立ち上げ、2020年1月東京 浅草橋に「BUTAI」というコワーキングスペースをオープンさせました。

未来を変える出会いを増やすためのアプリ「bajji」のユーザーがリアルに集まる場「BUTAI」

株式会社bajjiでは、未来を変える出会いを増やすためのアプリbajji(バッジ)を制作し、運営しています。 当社は現在、ビジネスサイド3名、開発9名、海外インターン1名の13名で、浅草橋で運営しています。
「BUTAI」は一般的なコワーキングスペースとしての機能にとどまらず、bajjiのユーザーがリアルで集まることのできる場としての役割も担っています。

「BUTAI」というネーミングは、「未来を変える出会いがある場」をコンセプトに、すべての人たちが初めて立つ「舞台」であってほしいという思いを込めています。「BUTAI」では、インキュベーションとコワーキングの2つの軸で運営しています。ドロップイン利用と月額会員制度、どちらも設けており、 ドロップインの1日の利用料金は1,500円、月額会員料金は1万5,000円としております。

本日はコワーキングスペース運営者勉強会ということですので、コワーキングスペースの運営に関して皆さまお詳しいことと思います。一方で、インキュベーションをコワーキングスペースとして取り組んでおられる方はまだ多くはいらっしゃらないのではないでしょうか?
インキュベーションとは、「事業の創出や創業を支援するサービス・活用のこと」で、元々は国や自治体が主体になってインキュベーションを行っていたのですが、最近は民間としてインキュベーションに取り組む事例も増えてきています。
そこで、当社としてインキュベーションに取り組んでいる背景や、その内容についてご紹介したいと思います。

第64回「コワーキングスペース運営者勉強会™」の様子

起業に関するメンターがいるコワーキングスペース

当社代表の小林は、大学卒業後、野村総合研究所に入社し、グリー株式会社の海外の責任者をしていました。その経緯で、シンガポールをはじめ海外で5社、日本で2社を起業をした経験があります。それらの会社はバイアウトしたり、中にはうまく行かなかったものもあったりとさまざまなのですが、株式会社bajjiは小林が起業した7社目の会社です。

BUTAIを立ち上げた小林自ら起業の経験があり、ビジネス関係の本の出版もしているということもあって、「BUTAI」には起業の相談を目的にいらっしゃる方もいます。このような経験やバックボーンがある人間がメンターとして就いているということで、インキュベーションの面は成り立っています。

インキュベーションに必要なソフト面の整備

では具体的に、インキュベーションを行っていく上でコワーキングスペースに何が求められるのでしょうか。
コワーキング施設は元々、「そこで会社を興しやすい」という点がとても重要でした。会社を作るためには「ヒト・モノ・カネ」が必要だと言われていた以前は特に、ソフトの面で「登記可能」というサービスが入居者を増やすための一つのポイントだったのではないでしょうか。

コワーキングスペースにおける登記可能というサービスが当たり前になってきた中で、新たに出てきたのが税理士や社労士、企業家などのメンターによるサポートの充実、そしてイベントの開催です。ただ、これらも当たり前になりつつあります。実際に現在、登記可能でメンターサポートもあり、イベントや勉強会もたくさん開催していますというコワーキングスペースも増えています。 コワーキングスペースでこのような創業のサポートやイベントなどを開催している時点で、「インキュベーションを行っている 」と言えるのではないかと考えています。

第64回「コワーキングスペース運営者勉強会™」の様子

「仲間探し」ができるシステム作り

利用者がコワーキングスペースに求めるものの変化

ただ、「ソフト面を充実させる」ためのイベント開催が、運営者を疲弊させてしまっているようにも思います。毎月、毎週イベントを行うのは体力もパワーも使います。その上、今、インキュベーションにおいて、入居者のイベント参加への目的が変わってきているのを肌で感じています。それは、目的がイベント参加そのものにあるのではなく、その後のネットワーキングや入居者の中での仲間探しであるケースが増えているということです。

そうなってくると、施設の運営側は頑張って集客できるイベントを開催するのではなくWeWorkさんのように、「入居者同士で仲間探ししてください」「コラボレーションしてください」というシステムを作ることが重要になってきます。つまり、どう利用者同士が仲間探しをできるかを考え、システムを整えていくかが今コワーキング運営者にとって重要な課題になっていると思います。

「仲間探し」の仕組みをどう整えるか
~bajjiアプリとの連携~

「仲間探しがしやすいスペース」にするために、入居者をマッチングしたり、入居者同士でお仕事を受注できたりするコラボレーションボードを設置しているコワーキングスペースもあると思います。これは、うまくいくケースももちろんありますが、例えば、お願いしたいのに本人がいない、紹介してもらったもののイメージと違ったというすれ違いも課題になっています。つまり、仲間探しがなかなかうまく行かないという場合も多いわけです。

そこで「BUTAI」では、bajjiというアプリと連携し、その一機能として「仲間が見つけやすくなるイベント機能」というのを提供しています。具体的には、 コミュニケーションボードのデジタル版のようなイメージで、コワーキングスペースに入室の際に「今こんな気持ちです」「こんな仲間を探しています」というような発信ができる仕組みです。仲間と出会うために、ハード面としてコワーキング施設、ソフト面としてbajjiがあるイメージです。

当社としては、bajjiのユーザーさんが増えてほしいという目的も込めてコワーキング施設「BUTAI」を提供しています。アプリのイベント作成機能も近日公開する予定で、利用料金も現在はコンシューマー向けサービスなので無料で使えますし、今後は分析などができるシステムを作って有料プランも作っていくことも視野にいれています。

BUTAIの内観

実は現在、bajjiを試験的に導入している連携コワーキングスペースもあります。全国向けにサービス説明を行っていく予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で延期になっています。

bajjiアプリは実名制SNSという形で本人確認制度を設けており、連携コワーキングスペースとは相互受け入れのシステムを行っているので、どの会員様がどこのコワーキングスペースを利用したのか、というのが可視化できるようになっています。

今後は一部有料機能として各開催イベントにおける「イベント参加者層」「アクティビティ内容」などのレポートも検討しています。例えば、開催したイベント後のネットワーキングに関して、今まではその後の結果の可視化が課題でした。bajjiを利用することで、誰と誰が繋がったのか、誰と誰が出会ったのか、出会いが創出される場所、コミュニティ、イベント、コワーキングスペースをアプリ内で日本全国・全世界に公開して、アクティビティとして出すことができるのです。

このような機能を通して、より「仲間探し」がしやすいサービスに整えていきたいと考えています。

人と出会って初めて使える次世代SNS「bajji」

bajjiというのは、その人がどんな人となりか、どんな人とどの位会ったのかという他己評価も見えるアプリになっています。
bajjiアプリのストア内で bajji(バッジ)を購入して他のユーザーに贈ることができるのですが、展開しているバッジはビジネスはもちろんプライベートの場面で使えるものまで多種多様です。bajjiを贈るということは、つまり「相手のことをある分野で評価する」ということです。ビジネスからプライベートまで幅広くバッジの種類を展開しているのは、人はビジネス・プライベートどちらも合わさって一人の個人であるということを大切にしているからです。一般の方もLINEスタンプのような感じで登録できるクリエーターズバッジもあるんですよ。

働き方が変わる中で、個人を表すものとしての名刺は100年間アップデートされていません。bajjiというアプリは、この名刺をアップデートしたものでありたいと思っています。

Facebook、Twitter、InstagramなどのSNSの根底には、承認要求型で「いいね!をしてほしい」といったものがあったように思います。ですが、フォロワー数やいいね!、コメントは全てお金で買える時代になってしまい、その評価が本当なのか広告が入っているのかが、曖昧になってきました。
それに対して、bajjiは必ず人と数珠繋がりで出会わないと使えないサービスであることを大事にしています。必ず相手に会って評価するというルールを作ることで、架空の評価のようなものを無くすためです。信頼性を保つためにも、必ずユーザー同士が出会うことを大切にしています。この時代だからこそ、実際に会った人だけが、リアルにつながることができるSNSにしています。

第64回「コワーキングスペース運営者勉強会™」の様子

利益は人に影響を与えているユーザーに

FacebookなどのSNSの利益の流れは、今や企業の広告モデルだと思いますが、 bajjiは、アプリ内で利益が還元されるような仕組みになっています。 bajjiは、良いトークをしたり人に影響を与えたりしているユーザーに利益が還元されるような仕組みにしています。

具体例を挙げてご紹介します。bajjiでは、実際に会った人にアプリ内で「ありがとう」や「お疲れ様」を言うためには、必ずbajjiを購入する必要があります。bajjiを買って相手に送る、でも相手は直接そのお金をもらえるわけではなく、bajjiの売上はファンドとして溜まっていき、プラットフォームで活動をしている何パーセントかの人にリワードが配布されるようなモデルにしています。

わざわざお金を払ってまで相手に「ありがとう」と言いたい、評価したい、そんなときに贈るのがbajjiです。つまり、bajjiをたくさん貰っている人は、世の中を変えるために頑張っている人だという証になるのです。

bajjiは、副業や採用、マッチングにも使えるということで評価を頂いています。例えば、コワーキングスペースの入居者の中でも、入居者同士で自らコラボレーションやマッチングが進むような形で使ってもらえれば嬉しいです。現在、そちら向けに積極的にお話をしているところです。

bajjiは裏側でブロックチェーンを使っていますが、サービス上は見えないようにしています。ブロックチェーンといっても、仮想通貨とは全く関係ありません。データを保管するためだけに使っています。どのように使っているのかと言うと、例えばTwitterに5万フォロワーがいたら、もしかしたら4万フォロワーは嫌いだからフォローしている可能性もあります。 ではライクが何人、きらいが何人というのを把握するために、ブロックチェーンを使っています。bajjiを誰に贈ったのか、誰と会ったのかというのをブロックチェーンに刻んでいるという使い方です。

bajjiを贈り合うことがスタンダードな世の中に

相手にわざわざストアでbajji(バッジ)を買ってまで「ありがとう」「お疲れ様」の気持ちを贈るメリットがわからないと言われてしまうこともあります。
ですが、Facebookもサービスが立ち上がった当初は、なぜ見ず知らずの人が見ているかもわからない場所にプライベートな写真をアップするの?と言われ続けていましたが、今やそれがスタンダードになりました。
2020年、これからの新しい10年はbajjiを買って相手に贈るのが新たなスタンダードになることを期待しています。

ありがとうございました。


この記事は一般社団法人コワーキングスペース協会が主催するコワーキングスペース運営者勉強会でお話いただいた内容をもとに作成しております。

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