コラム

「パセラのコワーク」運営統括責任者の佐藤聡美さんへのインタビュー(後編)


「パセラのコワーク」の運営統括責任者として、パセラのコワーク東新宿店と、パセラのコワーク東神田店の2店舗を統括している佐藤聡美さんに、 お話を伺います。

「パセラのコワーク」運営統括責任者の佐藤聡美さん
「パセラのコワーク」運営統括責任者の佐藤聡美さん

取材日時:2019年5月21日17時
取材場所:パセラのコワーク東神田店

「パセラのコワーク」は、カラオケやカプセルホテル、レストランなど多くの事業を手掛ける株式会社ニュートンが運営するコワーキングスペースです。 大手企業の中には、オープンイノベーションや働き方改革や求人採用などを目的としていわゆる単体での採算を度外視してコワーキングスペースを展開している会社もありますが、「パセラのコワーク」は不動産収益事業としてのビジネス展開をされています。
多様な業態の店舗を運営している会社のコワーキングスペース運営としてぜひご参考ください。

今回は、

  1. パセラのコワークとは?
  2. 2店舗目を始めた理由
  3. 佐藤さんが関わられた経緯
  4. 最近運営上で変更した完全キャッシュレス化の導入

などについて、お話を伺いたいと思います。

前編はこちらです。
「パセラのコワーク」運営統括責任者の佐藤聡美さんへのインタビュー(前編)

コワーキングスペースに携わる前は、ウェディングプランナーでした。

――佐藤さんはパセラのコワーク東神田店の立ち上げの時から、コワーキングスペースに携わっておられるのですか?

はい。パセラのコワーク東神田店の立ち上げからコワーキングスペースの運営に携わるようになりました。株式会社ニュートンは本当にいろいろなことをやっている会社で、株式会社サンザにという姉妹会社ではカプセルホテルなども展開しています。私は新入社員でこの会社に入って、ずっと結婚式場でウェディングプランナーとして働いていました。ちょうど店舗を異動するタイミングでパセラのコワーク東神田店の立ち上げという話を聞いて、入社5年目で全く違う業種に異動してきました。そもそも結婚式場で働いていた時は当たり前ですがリピーターというのが無かったんですよ。仕事内容は今までと全く違うのですが、その分、学ぶこともたくさんありました。

異動してきてすぐは、右も左もわからない状態でした。

――希望されて異動されたのですか?

具体的にこの業種を希望したわけではなかったのですが、ずっとウェディングプランナーをしてきて、このままこの仕事を続けていていいのか、何か違うこともやってみたいなと漠然と思っていました。せっかく色々なことをやっている会社なので、別のことにチャレンジしてみたいと思い人事の担当者と話をしていたところちょうどパセラのコワーク東神田店の立ち上げがあり人が必要だから異動してみないかという話になったんです。それで右も左もわからない状態でしたが、やってみますと、コワーキングスペースの運営に関わりました。

インタビューを受ける「パセラのコワーク」運営統括責任者の佐藤聡美さん
インタビューに応える「パセラのコワーク」運営統括責任者の佐藤聡美さん

どれだけお客様にとって居心地のいい環境を作れるかが大切だと思います。

――コワーキングスペースの運営だけの専門スタッフを仕事にしている人は、日本ではそこまでいないと思います。日本全国で見てもコワーキングスペース専業で正社員というのはまだ100人いないのではないでしょうか。このような狭い業界で、専業でお仕事を始められてから1年が経過したわけですが、将来コワーキングスペースの運営スタッフをやりたいなと思っている人にとって、何が大切だと思いますか?

どれだけお客様にとって居心地のいい環境を作ることができるかということが大事になってくると思います。どれだけご利用者様の目線で考えられるかということですね。

――コワーキングスペースの店長になりたい場合、どうやってなればいいのでしょうか?

まずはコワーキングスペースを展開している会社にアプローチして、そこで経験を積んで、社員になって、という感じですね。もしくはリスクもあり資金が必要ですが、自分で始めるかですよね。

コワーキングスペースはこれからどんどん増えていくと思います。

――佐藤さんはこれからもしばらくは、株式会社ニュートンの「パセラのコワーク」としてのコワーキングスペース事業に関わっていく予定ですか?

はい。まだ始めて1年なので、コワーキングスペース自体の奥深さというのを感じてきたところです。本当に色んなスペースを見に行ったのですが、コワーキングスペースごとに全然コンセプトが違うんですよね。それに、これからどんどん増えていくんだろうなと感じています。「パセラのコワーク」も、すぐにというわけではありませんが、さらなる多店舗展開も検討していくと思います。

現在は、会員様に使っていただけるサテライトオフィスも展開しています。パセラリゾーツ銀座店の「カスケード」というレストランの昼間の時間を使ってワークスペースを提供しています。池袋でも3年ほど前からサテライトオフィスを展開していて、パセラリゾーツ池袋店のフーズフーズというレストランの昼間の時間を活用しています。池袋店は、池袋店のみご利用いただくための月額プランもあり、そういう池袋店だけのお客様もいらっしゃいます。サテライト店では全店舗ではないのですが、荻窪・新宿・新橋汐留店では、「安心お宿」というカプセルホテルも併設しており、泊まらなくてもご利用いただけます。安心お宿のカプセルホテルは男性に限定されるのでコワーキングスペースも男性限定です。6月からは秋葉原電気街店・新橋駅前店もサテライトオフィスとして使えるようになる予定です。

――女性限定のコワーキングスペースはたまに聞きますが、男性限定は日本初かもしれないですね。

確かにそうかもしれません。サテライトオフィスでは、コワーキングスペースをご利用いただければ、500円でお風呂をご利用いただけるんです。なのでお仕事の合間にコワーキングスペースを利用されて、500円で汗を流してリフレッシュしていただくこともできます。

――池袋のカプセルホテルなどのサテライトも、「パセラのコワーク」の会員になれば使えるのですか?

はい。東神田店の会員様の場合、月額25,000円の会員様になっていただければ、サテライト店5店舗に加えて東新宿店もご利用いただけます。月額20,000円の会員様であればサテライト店はご利用いただけます。20,000円の場合、東新宿店はご利用いただけません。つまり、東新宿店か東神田店のどちらか一方のみを利用する場合には月額20,000円でサテライト店も使える、月額25,000円であればどこでも利用できるということです。

キャッシュレス化によって運営がシンプルになりました。

――最近完全キャッシュレスにして現金は取り扱わなくなったということですが、それはなぜですか?

キャッシュレス化は東神田店から始めまして、6月には東新宿店も完全キャッシュレス化する計画です。最近キャッシュレス時代ですので時代の流れというのと、お店の運営は社員ではなくアルバイトなどのスタッフさんにお任せしており、株式会社ニュートンにおいてコワーキングスペース事業の正社員が私しかいないため、社員が常駐していないということで、銀行への売上金の入金作業などの売り上げ管理が難しく、キャッシュレスにすることでそれらの手間を省ける上に全てデータ化されますので、これらの課題が一気に解決できたんです。1日の締めは、日報のレシートを出して確認するだけです。

――正社員400名以上の会社で、「パセラのコワーク」専属の社員は佐藤さんお一人なんですね。

はい。新規立ち上げというのもあり、東神田店・東新宿店含め社員は私だけです。

――キャッシュレスは独自のシステムでされているのですか?

様々なQR決済が一括になっているサービスがあり、それを使うとQRコードを読み取るだけでそれぞれのマネーごとに集計されるんです。QR決済に関してはそのシステムを導入していて、クレジットカードに関しては一般の端末を使っています。キャッシュレス化したといっても、金額に関してはしっかりとチェックして管理しています。

キャッシュレス
現金の取り扱いを辞めて、完全キャッシュレス化を導入。コワーキングスペースを利用するお客様では現金が取り扱えないことはクレームにならなかったという。

オープン時にはエリア特性もわからなかったので、7階は保留にしておいたんです。

――東神田店で面白いなと思ったのは、オープンの段階で9フロアあるうちの7階を空けていましたよね。何に需要があるかなというのを見極めてから工事しようと。あれは斬新でした。

そうですね。結果的には需要のあった広めの個室になりました。オープン当時このあたりのエリア特性もわかりませんでしたので。ワンフロアをまるまる空けておくのは確かにもったいないと思います。ですが、下手に何かを作ってしまうより、少し時間をおいてこのエリアの方がどういった希望で利用されるのかというのをしっかりと把握した上で作りたかったんです。1年かかりましたが、やっと今度工事が始まります。このエリアでは5名以上の個室の問い合わせが特に多かったので、10㎡以上の個室をワンフロアで4部屋作ることにしました。遅くとも8月上旬までにはオープン予定です。

8階・9階の個室フロア
1・2人の個室より、5人以上の個室が人気という。エリアによって属性の違いがあるとのこと。

――苦戦しているフロアはありますか?

4階の貸し会議室ですかね。最大80名、ワンフロア1時間13,000円です。意外とお客様が入りそうで入らず、一番苦戦しています。需要がないというわけではないと思うのですが、近隣は大きい会社が多いので、自社で会議室を持っているケースが多いのかもしれません。最近は、自社の会議室が空いていなかったから空いていませんかという問い合わせが増えてきました。どこにどうやってアプローチすればいいのか、難しいですね。

当社の社員にも、もっと興味を持ってもらえるようになりたいです。

――大手企業の場合、収益目的ではなくオープンイノベーションの一環でされることも多いですが、御社の場合は収益事業という位置づけですよね。

はい。当社の社員は福利厚生として無料で利用できるのですが、社員への福利厚生のためではなく収益を生んでいくという目的で運営しています。当社の社員は無料ですが、全然使ってくれないんです。なのでそこがある意味、一番課題かもしれないですね、当社は店舗で働いている社員が多く、営業に回ったりしている社員がいないからかもしれませんが、もう少し興味を持ってもらいたいなというのはあります。

もう1店舗、2店舗と増やしていけたらと思います。

――最後に、今後の展望をお聞かせください。

まずはパセラのコワーク東神田店にもっともっとお客様に入っていただけるよう運営していきます。それが実現した後には、もう1店舗、2店舗と増やしていけたらなと思います。

佐藤聡美さん
佐藤聡美さんにお話を伺いました。ありがとうございました!

 


 

後編では、コワーキングスペースの運営を正社員として専業でされている佐藤さんが関わり始めた経緯や関わってからのこと、また、パセラのコワークで最近導入したという完全キャッシュレスについてお話をお伺いいたしました。
「パセラのコワーク」運営統括責任者の佐藤聡美さんへのインタビュー(前編)

コワーキングスペースの運営に専属スタッフとして関わられている方のお話でしたので、経営者側視点や利用者側視点以外にも、コワーキングスペースで働いてみたいという人にも参考になる点があったかと思います。佐藤さん、色々とお話いただきまして、ありがとうございました。

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