コラム
「パセラのコワーク」運営統括責任者の佐藤聡美さんへのインタビュー(前編)
「パセラのコワーク」の運営統括責任者として、パセラのコワーク東新宿店と、パセラのコワーク東神田店の2店舗を統括している佐藤聡美さんに、 お話を伺います。
取材日時:2019年5月21日17時
取材場所:パセラのコワーク東神田店
「パセラのコワーク」は、カラオケやカプセルホテル、レストランなど多くの事業を手掛ける株式会社ニュートンが運営するコワーキングスペースです。 大手企業の中には、オープンイノベーションや働き方改革や求人採用などを目的としていわゆる単体での採算を度外視してコワーキングスペースを展開している会社もありますが、「パセラのコワーク」は不動産収益事業としてのビジネス展開をされています。
多様な業態の店舗を運営している会社のコワーキングスペース運営としてぜひご参考ください。
今回は、
- パセラのコワークとは?
- 2店舗目を始めた理由
- 佐藤さんが関わられた経緯
- 最近運営上で変更した完全キャッシュレス化の導入
などについて、お話を伺いたいと思います。
アミューズメントやホテルなど、様々な事業を展開している会社です。
――まずは、パセラのコワークと会社の概要について、ご紹介をお願いします。
「パセラのコワーク」を運営している株式会社ニュートンは、主にアミューズメント事業、例えばカラオケのパセラ、グループ会社の株式会社サンザで伊豆にあるリゾートホテルや、都内のバリアンというホテルなどを展開しています。当社が、新たな事業としてコワーキングスペースとして作ったのが「パセラのコワーク」というコワーキングスペースになります。
現在店舗としては、新宿と神田に各1店舗、計2店舗を構えています。東新宿店が2014年10月にオープンしたので、コワーキング事業に携わって現在5年になります。東神田店は2018年5月にオープンしました。ですので、パセラのコワーク東神田店はちょうど今月で1年を迎えました。
はじめはかなり集客に苦戦しました。
――実際に運用してみて、いかがですか?東新宿店はいつも人がいっぱいだと伺っています。
東新宿店はもうすぐ5周年になりますが、1年目は集客に苦戦しました。現在は周辺の方にも認知されお客さんも徐々に増えてきて、同時に会員様も増えてきて順調です。
――東新宿店は1日何名くらいのお客様がいらっしゃいますか?
平日と土日は異なりますが、ドロップイン(一時利用)と月額の会員様を合わせて1日あたり150~200名くらいの方がパセラのコワーク東新宿店にいらっしゃいます。東神田店は9フロアありますが、東新宿店は広い1フロアとして運営しています。
「あったらいいな」がいっぱいあるコワーキングスペースです。アメニティを充実させ、女性向けのパウダールームなども完備しています。
――御社はホテルもお持ちということもあり、設備関係が非常に充実しているイメージがありますが、自慢できる設備は何かありますか?
パセラはアメニティですとか備品をすごく充実させているので、パセラらしく「あったらいいな」をたくさんご用意しています。例えば、モニターやキーボードはもちろんあります。東神田店は女性のお客様も多いので、女性向けにパウダールームやヘアアイロンなど、お仕事以外のところも充実させています。
また、複合機・インクジェットプリンターのコピーが白黒カラー1日100枚まで無料やドリンクも30種類以上ハーブティーや味噌汁までご用意しています。
女性限定パウダールーム、豊富なアメニティが揃っています モニターやキーボードの貸出も行っています
――先ほどは、2階でパンも提供されていました。
はい、お一人様1日2つまで無料で提供しています、16時以降はワインも提供しており、こちらもお一人様2杯まで無料なんです。リフレッシュに飲むお客様もたくさんいらっしゃいます。
ふわふわパンのサービス、電子レンジもご自由に使えます フリードリンク、本格珈琲もある充実のドリンクバー
お客様からご要望があり、営業時間を変更しました。
――営業時間は東神田店が平日9時~23時、土日祝が22時まで、東新宿店も同じなのですね。
そうです。オープン当初は10時〜22時だったのですが、お客様からもう少し長く利用したいというご要望をいただいて、営業時間を変更して、今ではオープンは朝9時から、平日は23時まで営業するようになりました。閉店時間までスタッフも常駐しておりますので、皆様に安心してご利用いただいております。
エリア特性か、お仕事以外の使い方をされている方もたくさんいらっしゃいます。
――先ほど女性の方が多いというお話がありましたが、具体的な属性はどのような方が多いのでしょうか?
パセラのコワークでは、東新宿店と東神田店では客層が異なりまして、東新宿店はフリーランスでお仕事をされている方や、スタートアップの方が多いですね。東神田店は会社帰りに来てお仕事をされている方など夕方から入られる方も多くいらっしゃいます。土日は女性4・5人のグループでハンドメイドキッドのようなものを持ってきて一緒に作業をしているということもあります。この辺りは問屋さん街なので、おそらくそこで材料を買ってみんなで作業できる場所を探してパセラのコワークに辿り着いたのかなと思います。もちろんお仕事をされている方もたくさんいらっしゃるのですが、お仕事以外の使い方をされている方も結構いらっしゃって、エリア特性なのかなと思います。
――東神田店は1日何名くらいの方が利用されているのでしょうか?
こちらはまだまだこれからなのですが、ドロップインと月額会員様を合わせて1日60~70名様くらいの方にご利用いただいています。東神田店は8階と9階が個室スペースになっていまして、10室が2フロア、計20室あるのですが、東新宿店との違いとして個室スペースは24時間ご利用いただけるようになっています。新宿はビルの関係で営業時間までです。東神田店はビルごと借り上げていますので、それが可能になりました。営業時間外は8階9階だけに入れるセキュリティにして、会員様にはセキュリティカードをお渡しして管理をしています。
8階・9階の個室オフィス 8階・9階の個室オフィス 8階・9階の個室オフィス 6階の会話NGの個室フロア 5階の2人以上で利用可能なミーティングフロア 4階の70人利用可能な貸会議室 3階のコワーキングスペースフロア 2階のフロントエリア。「クロックカフェ」も。
お客様から新宿だけでなく東京の東側の方にもあったらいいな、という声を頂いたのが東神田店をオープンしたきっかけです。
――なぜ2店舗目を始められたのでしょうか?1店舗目が順調だったからということですか?
そうですね。東新宿店をオープンしてある程度お客様にご利用いただけるようになり、そのような中、お客様からの声で新宿だけではなく東京の東側の方にもあったらいいなという声を多々いただくことがありまして。それで神田エリアにもう一店舗作ってみようかなということになったというのが、きっかけではあります。東新宿店も込み合ってきていたので、そちらのお客様も新店舗を使えるようになればいいなということで。
――1棟を借りるというのはすごいですね。
物件とのご縁というのもあります。ちょうどこのエリアにいい物件があってせっかくやるなら1棟まるまるというのを打ち出しました。ワンフロアあたりのスペースは30坪程度と狭いので、フロアによってコンセプトを分けることができるんですね。1階がポストとレンタル自転車(シェアサイクル)、2階がカフェエリアで一番ドリンクを充実させており、近隣の会社にお勤めの方やご近所にお住いの方もカフェとして使っていただきたい考えました。それで2階のエリアはコワーキングスペースではなく名前を変えて「クロックカフェ」、つまり時間制のカフェという形で営業をしています。内容としては一緒なのですが、カフェ感覚で来ていただきやすいように名前を工夫しました。
1階のレンタル自転車 2階の「クロックカフェ」への階段
近隣の方にも来ていただけるよう、2階は入りやすさを重視しています。
――「コワーキングスペース」と言うと、やっぱりまだまだ認知されていない層の方もいますからね。
そうなんです。近隣の方にも来ていただきたいと思いましたので、2階のスペースは入りやすさを重視して運営しています。1時間500円、フリードリンクで1時間からご利用いただけて、Wi-Fiもご利用いただけます。東神田店は馬喰町にあり、最寄り駅で言うと浅草橋なのですが、周辺にはファミレスが1店あるくらいで、カフェがあまりないというのも理由としてはあります。そのファミレスも混んでいたりしますので。
――確かに、商圏としてはそのような需要もあるかもしれませんね。ですが、ビジネス街ではない中、ここでやる不安などはありませんでしたか?
初めは周りの人に知ってもらうのが最大の課題で、ビルの外見を見ていだたいたら分かると思うのですが、ここは何のお店だろう?となってしまうと思うのですね。「パセラのコワーク」とは書いてあるんですが、何のお店なの?という感じで入ってきていただくことも多いんです。そんな方に、そこから「クロックカフェ」やコワーキングスペースといって時間貸しをしています、ということをご案内して、少しずつ知っていただきました。
他には、私もアルバイトさんも地道にチラシを配ったりしていました。お店の前や駅前、秋葉原駅の方まで行ったこともあります。秋葉原はコワーキングに対して理解はあるのですが、ここから遠く場所の説明をするのが大変でしたので、メインはお店の周辺で配っていました。
1店舗目をオープンした4・5年前よりは、コワーキングスペースが浸透してきていると思います。
――オープンして1年が経過しましたが、現在の状況はいかがですか?
パセラのコワーク東新宿店もオープンして1・2年は周りの人に認知してもらうのが大変でした。東新宿店をオープンした頃は、当時コワーキングスペース自体が少なかったので、そもそもそこからのスタートでした。パセラのコワーク東神田店に関しては、新宿ですでにやってるというのがありましたし、コワーキングスペースが増えてきたという時代もあり、浸透しやすかったですね。まだまだの状況ではありますが、1店舗目に比べたら集客はしやすかったと思います。
――東新宿店を利用されている会員様は、東神田店も使えるのですか?
料金プランを分けてまして、使える会員様と使えない会員様がいらっしゃいます。2店舗とも使えるプランをご利用いただいている会員様も多くいらっしゃいます。
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前編では、パセラのコワークの施設の概要や、2店舗目を始めた経緯などについてお話を伺いました。後編では、コワーキングスペースの運営を正社員として専業でされている佐藤さんが関わり始めた経緯や関わってからのこと、また、パセラのコワークで最近導入したという完全キャッシュレスについて聞いていきます。後半に続きます。
「パセラのコワーク」運営統括責任者の佐藤聡美さんへのインタビュー(後編)
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