イベント・勉強会レポート

株式会社パソナが運営するワーキングスペース「パソナ出張ラウンジ」「TRAVEL HUB MIX」について、運営担当の皆様にお話いただきました。(第57回「コワーキングスペース運営者勉強会®」)


株式会社パソナが運営するワーキングスペース「パソナ出張ラウンジ」について運営事務局マネージャーの高橋様と若色様から、コミュニティ型観光案内所「TRAVEL HUB MIX」について支配人の日置様と亀井様からお話いただきました。
パソナ出張ラウンジ:http://www.pasona-frontier.com/
TRAVEL HUB MIX:https://travelhubmix.dg-1.jp/
日時:2019年7月9日18:30〜
イベント概要:https://coworking-japan.org/2019-57/


パソナは人材サービスを行っている会社です

高橋:株式会社パソナは人材サービスを行っている会社で、人材派遣を皮切りに、紹介、再就職支援などの事業を行ってまいりました。本日お越し頂いているビルは、パソナのグルーブ本部ビルで、2017年に旧オフィスから引っ越してきました。このビルは当社の事務所としてだけでない様々な役割を持たせており、その一つがワーキングスペース提供事業です。

現在提供をしているサービスはパソナのオフィスを外部の皆様にもシェアをさせていただくという形をとっています。当社の支店を使用し、北は札幌から南は福岡まで全国16か所に拠点を展開しています。

このワーキングスペース事業は、2017年に私と若色の2名で社内新規事業コンテストで提案したことをきっかけに、2018年3月にスタートしたばかりです。

スポットオフィス市場は常駐の10倍以上あるのではないか

高橋:シェアオフィス含め常駐のオフィスだけの事業というのは、すでにたくさんの事業者様が存在しています。一方で、出張の時の拠点になるスペースや、これからビジネスを展開していく方の足掛けとなるようなスペース、このような場所を我々は「スポットオフィス」と呼んでいるのですが、スポットオフィスは常駐オフィスに比べて市場が10倍以上はあるのではないかと社内で分析・試算をした上で、事業をスタートさせました。

この企画は3年前のものですが、当時は全国にワーキングスペースを展開している企業はまだありませんでした。そういった意味でも、我々がフロンティアとなって頑張れば、まだまだビジネスチャンスがあるのではないかと考えました。

パソナがやる理由は「インフラの活用」と「人材サービス会社ならではの強みを生かせること」

高橋:では、なぜパソナがそのような事業を行うのか。一つ目の理由は、当社はすでにワーキング事業を行う上でのインフラが整っていることです。当社には現在、全国に約80か所の拠点があり全国47都道府県を網羅しています。そしてそれぞれの拠点に、転職したい人が来社して履歴書を作成するスペースやカウンセリングができるスペースがあります。民間のハローワークのような施設が全国にあるイメージです。既存事業において既にそのようなインフラがあったため、このワーキング事業に関して初期投資はゼロで展開することが可能で、着手しやすい環境にあったと言えます。

二つ目の理由が、当社が人材サービス会社だからこそ、場所だけでなく人材も提供できる優位性があるということです。当社は、パソナ顧問ネットワークサービスというフリーランサーの方向けのお仕事の仲介、業務委託でのお仕事の仲介サービスを行っており、約6000名のフリーランサーを抱えています。また、既存の事業である正社員の方の紹介や人材派遣も行っています。これらを活用することで、例えば地方の会社が東京に進出したい、東京の会社が地方に拠点を出したいという場合に、現地での人材補充や販路拡大のためのノウハウを持った人材の提供を当社で全て行うことができます。

我々のワーキングスペースをご利用いただく方の「ハブ」となって繋げたい

若色:東京の本部ビルであるこの拠点は「JOB HUB SQUARE」という場所です。「働きたいと願う主婦や若者、シニア、外国人、障害のある方、起業を志す方や地方で働きたい方など、多様な人材が集う“スクエア(広場)”」というコンセプトで運営しています。パソナのワーキングスペースをご利用いただいているお客様にどういった需要をもたらすことができるのか、企業と企業をどのように繋げられるか。我々がいわゆる「ハブ」となって、事業の中で展開したいという想いも込めて作った事業です。

高橋:1年強の期間でお客様は80社程度まで増えてきました。メインで使っていただいているのは、この東京の拠点です。地方の拠点はあくまで当社の支店ですので、テナント、ビルの一角にあるような形です。このビルは一棟当社で活用しておりますので、ワーキングスペースとしてはもちろん、新卒や中途採用の面接に使っていただけるという当社ならではの特徴もあります。

多くの人事の方にご利用いただいているという特徴があります

高橋:ワーキングスペースというと営業の方や、契約の中心となるのは経営者様であることが多いと思いますが、当社とご契約いただく方は人事の方も多くいらっしゃいます。人事の方が面接の場所として、このラウンジをご利用いただいている事例もあります。

このビルには当社の事務所だけではなくて、パソナ社員、または関係者の方がフリーで使える席を4~500席ご用意しています。人と人とを繋げる、人と仕事を繋げるというコンセプトがありますので、遊びを持たせるような設備になっています。用途についても特に制限をせず、出張先の営業拠点、取引先との商談、ミーティングなど、基本的に何でも使っていただけます。

もちろん常駐オフィスとしても使っていただける環境も充実させています

高橋:ワーキングスペース事業を始めたきっかけとして、スポットオフィス市場の可能性がありました。ですが、やはり常駐オフィスとしても使えないとお客様としては物足りないということで、静かに仕事ができるオフィススペース、ミーティングルーム、Wi-Fi、宅配便、コピープリント、登記のできるロッカーやポストも配置しています。東京拠点は土曜日も営業していますので、色んな方に使っていただけるような配慮をしています。

地方拠点は会議室や面談室の利用が増える傾向にあります

高橋:当社は人材会社なので採用のご相談がたくさんあり、面接ができる面談室や、説明会ができる会議室などの個室のインフラ設備が整っています。このスペースをご利用いただくことで更にシナジーを生もうと考えています。現在、地方拠点に関しては、オフィススペース利用よりも会議室や面談室のご利用が増えてきている状況です。

パソナ出張ラウンジのミッションはお客様との接点を増やすこと

高橋:パソナ出張ラウンジは、会員カード1枚月額25,000円で当社の16拠点全てに出入りでき、カードの使い回しもできるというサブスクリプションモデルです。この価格の設定がミソでして、当社は人材サービスが本業ですので、このサービス単体で利益を生むということでありません。パソナ出張ラウンジを活用していただくことでお客様との接点を増やすというミッションがあります。そのため、価格を抑えることで多くの人に使っていただいています。

若色:さらに、会員証をお持ちの方が商談などのお相手を連れてご利用いただく場合、商談されるお客様の会員カードは必要ありません。仮に会員様1名に対して商談される方が5名いらっしゃっても1枚のカードでご利用いただけるという破格でサービスをご提供しています。

高橋:ご利用事例に関して、もちろん一般的な営業の拠点、サテライトオフィスという使い方もしていただいていますが、採用面接場所という当社ならではの使い方もあります。アクセスがいいところに面接拠点を置くことで、面接が増えて辞退率も低下したという効果事例も生まれています。

パソナ出張オフィスから、パソナの様々なソリューションへ
より多くの会社様との接点が増え、お力添えができるようになりたい

高橋:最後に今後のビジョンと取り組みをご紹介します。今後は「パソナ出張ラウンジ」と面接や会議室のご利用に特化した「全国どこでも採用オフィス」という2本立てで運営していく予定です。ベンチャー企業様、スタートアップだけでなく、中堅企業や大手企業の営業や人事の方が活躍される場所としても使っていただきたいと考えています。

そして、ベンチャー支援はもちろん、全国の拠点を生かした地方創生支援、現在盛んに話題になる働き方改革に伴う支援、この3つの切り口でご支援をしていくことで、様々なネットワークを広げていき影響力を強めていきたいというのが我々の目標です。

TRAVEL HUB MIXはパソナグループが新しく設立した「関係」案内所です

日置:ここからはTRAVEL HUB MIXについてお話いたします。この場所は2017年にパソナグループが新しく設立した「関係」案内所です。厳密に言うとワーキングスペースではありませんが、名刺交換だけでメンバーカードを作ることができ、イベントで貸し切りの時を除き無料でお使いいただけます。
イベントスペースとしては1時間10万円でご提供しています。

TRAVEL HUB MIXに入っていただくと、大型スクリーンにGoogle Earthを映していて、世界中から来た方がこれを操作しながら住んでいる場所や行ってみたい場所についてお話したり、現地を実際に案内しているような臨場感のあるリポートをしたりできます。他にもインターネット配信設備もあり、現在のこの勉強会もFacebookでライブ配信しています。

「出会いと刺激と体験」で人と人を繋ぐ

日置:「関係」案内所に加えて、人生という旅の案内所というコンセプトがあります。観光や地方創生はもちろん、パソナグループの主幹事業である働き方、ライフスタイルなどを含めて「旅」という世界観の中で案内をしていく場所なのです。

パソナはただの人材会社ではなく、ライフプロデュースカンパニーです。TRAVEL HUB MIXは、これから人生100年時代、どういった風に過ごしていくか、様々なホストとゲストを繋ぐことをコンセプトにしています。本日を例に挙げれば、ワーキングスペースの専門家と、ワーキングスペースに興味がある方や勉強したい方が集ってミックスをする。このミックスというのは、M:Meetup+I:Inspiration+X:eXperienceのアルファベットをとり、出会いと刺激と体験を意味しています。

魅力的なコトやモノというのは魅力的な人との出会いから始まる

日置:これからの消費はモノ消費ではなくコト消費だと言われています。魅力的なコトやモノというのは魅力的な人との出会いから始まっていくのではないか。これは旅に限ったことではなくキャリアなども同じだと考え、TRAVEL HUB MIXは様々な方にご利用いただいいます。

旅するように「はたらく」JOB HUB TRAVELを展開

日置:TRAVEL HUB MIXから派生して、JOB HUB TRAVELというサービスを展開しています。

亀井:JOB HUB TRAVELという名称ですが、旅行サービスではなく、新しい働き方のご提案です。地方にフォーカスを当てて、複業や新しい働き方にチャレンジしている方と想いをもって経営をされている企業の方々を業務委託でマッチングするというサービスを行っています。旅するように行って働いて帰ってくる、そんな働き方を創造しています。

例えばワーキングスペースを運営されている企業様であれば、会員企業様と複業したい方をマッチングすることによる業務のお手伝いや、我々がトラベラーと呼んでいる複業希望者の方がその地域に行ったときにワーキングスペースを利用させていただく。そんな連携もできるのではないかと思っています。

※補足:なぜ「ワーキングスペース」という呼び方をしているのか?
当社は総合人材サービス会社の一新規事業として『パソナ出張ラウンジ』を立ち上げました。
当社拠点の「JOB HUB SQUARE」という呼称にも象徴されておりますとおり、
様々な会社の方々に場所を提供するだけでなく、“人”と“仕事”をつなぎ合わせる拠点でありたいと考えておりますので、コワーキングスペースやシェアオフィスという場所提供のイメージではなく、働く空間・機会の提供という意味合いを込めて「ワーキングスペース」と呼んでおります。

コワーキングスペース運営者勉強会®の参加者で写真撮影可能な方々との集合写真

第57回「コワーキングスペース運営者勉強会®」の動画

「コワーキングスペース運営者勉強会®」の動画は、通常は、一般社団法人コワーキングスペース協会®の会員向けに限定公開としていますが、今回はTRAVEL HUB MIXのFacebookページにて公開動画とされていますので、YouTube公開動画としています。

第57回コワーキングスペース運営者勉強会®(1/2)
第57回コワーキングスペース運営者勉強会®(2/2)

TRAVEL HUB MIXのFacebookページにも動画が公開されています。


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