コラム

アスノシステム株式会社が運営する「A-Point」の楠徹平さん、新谷諒介さんにお話いただきました。(第73回「コワーキングスペース運営者勉強会®)


アスノシステム株式会社が運営する「A-Point」の楠徹平さん、新谷諒介さんにお話いただきました。

日時:2021年1月21日(木曜日)19時~20時
場所:A-Point(完全オンライン開催)

第73回コワーキングスペース運営者勉強会でお話する機会をいただき、ありがとうございます。本日は、アスノシステム株式会社メディアサービス部の楠徹平、新規ビジネス開発本部研究室の新谷諒介の2名でお話をさせていただきます。よろしくお願いします。

A-pointの楠徹平さん、新谷諒介さん

コワーキングスペースA-Pointは、2020年9月にオープンしました。本来は2020年4月にオープンする計画で、3月時点では準備もできていたのですが、新型コロナウイルスの影響で9月オープンになりました。そのため、まだノウハウを語れるほど運営してきたわけではないのですが、お役に立てるお話ができればと思っています。

本日はまず私、楠から「3Dバーチャルツアーを使ったA-Pointのご紹介」、後半に新谷より「システム会社がローコードで作ったコワーキング受付システム」についてお話させていただきます。

基幹・業務系システムの開発を手掛けるアスノシステム

当社はアスノシステム株式会社といい、名前の通りシステム会社です。1988年に創業し2009年に現在の名前になりました。約30年間、主に流通・物流系のお客様を中心に、基幹・業務系システムの開発を行ってきました。いくつかグループ会社がありますが、当社単体としては全国6か所・ベトナムにも駐在所があり、170名ほどの社員がいます。システム開発以外にも、自社メディアとして、会議室.COMという検索ポータルサイトを運営しており、私はその責任者をしています。

コワーキングスペース「A-Point」を立ち上げた背景

システム会社である当社がなぜコワーキングスペースを始めたのかというと、初めからコワーキングスペースを始めようと思ったわけではありません。当社がA-Pointを始めたのには、いくつかの目的がありました。

会議室運営者向けの最新情報を詰め込んだショールーム機能

まず一つ目は、「会議室運営者向けの最新情報を詰め込んだショールームをつくる」ということです。当社の自社メディアである会議室.COMでは、メディアサービス以外にも、会議室運営者様を支援する商品やサービスの販売を行っています。例えば、会議を効率化させるための機器や通信設備など、会議室運営者様の付加価値につながるものです。その際、カタログだけではなかなかお伝えできないので、実際に見て触って体感していただけるようなショールームを作りたいと、以前から考えていました。

最新設備を備えた会議室
A-Point内の会議室では、アスノシステム株式会社が手掛ける会議室向け商品・サービスを実際に体験できる

グループ間シナジーや様々なステークスホルダーとのコミュニケーションの場づくり

二つ目は、「グループ間シナジーや様々なステークスホルダーとのコミュニケーションの場づくり」です。当社にはいくつかのグループ会社がありますが、日常的には横のつながりがあまりない状態でした。A-Pointを作ることで、グループ会社内でコミュニケーションをする場を作りシナジーを作りたいと考えました。
また、グループ会社に「PE-BANK」というフリーランスエンジニアの専門エージェントを行っている会社があり、2000名以上のプロのエンジニアの方にご登録いただいています。他にも、30年間のシステム開発で培ったお取引先様を含めると、本当にたくさんのお客様、関係者に支えられています。A-Pointを作ることで、そのような関係者様に当社を介してつながりや出会いが生まれ、ビジネスにつながっていく拠点にしたいと考えました。

ICTやIoTなど新技術を学び業務としてトライ&エラーできる環境づくり

三つ目の目的は、「ICTやIoTなど新技術を学び業務としてトライ&エラーできる環境づくり」です。当社のような自作のシステム会社では、社員の9割がシステムに関する仕事をしています。そして、お客様のシステムを要件通りに構築して、安定稼働させることが何よりも重要です。そのため、業務の中で新しい技術にチャレンジしたりトライ&エラーしたりできる環境がなかなか作りづらいという問題がありました。A-Pointがあることで、新技術を学んで業務としてトライ&エラーできる環境ができると考えました。

これらの三つの目的をまとめていくと、「ショールーム+コミュニケーション+技術研究」ということで、それであれば同時に一般のビジネスユースの方にも立ち寄っていただけるような場所にようということで、コワーキングスペースということになりました。

利用者様のビジネスの出発点に

A-Pointという名称の由来をご紹介します。Aは当社のアスノシステムのAですが、「アポイント」と読みます。アポイントはビジネスの第一歩であるので、出会いの拠点・ポイントとしてここが利用者様のビジネスの出発点になればという思いで名付けました。

A-Pointのロケーションは、竹芝再開発エリアにあります。ここにこだわったわけではなく、第一は賃料が決め手になりました。本来は、当社事務所に併設したいという話もありましたが、現在当社は泉岳寺(高輪ゲートウェイ駅、泉岳寺駅)にあり、オフィスの拡張が難しい状況でした。そのため、本社から比較的アクセスしやすい、ソフトバンク本社や劇団四季の新しい劇場もある魅力のある土地だという理由もあり、ここを選びました。

「A-Point」を360°空間3D-VR撮影サービスを使って紹介します

ここからは360°空間3D-VR撮影サービスMatterport(マーターポート)を使って、A-Point内のご説明をします。
A-Point TAKESHIBAの360°バーチャルツアー

フロア全体は140㎡くらいです。現在はコロナ対策で席を間引いていますが、全28席、全てフリー席となっています。コラボエリア、ファミレスシート、ハイカウンターシート、ミーティングルームがあります。ハイカウンターシートはお一人で集中して作業されたい方、長時間利用される方はファミレスシート、グループでご利用いただける4人掛けテーブルなど、シーンに合わせてご利用いただけるようなエリアを設けています。コンパクトですが、全体的にゆとりを持たせて快適にお過ごしいただけるように設計しています。

受付には専用のアプリでチェックインできるタブレットを配置しています。また、アプリと連携してTwitterで混雑状況が見られるようになっています。

A-pointの内観

ショールームとして、さまざまな機器を設置、無料でお使いいただけます

ショールームとしての機能は、入り口部分に早速、当社が代理販売をしている業務用のアロマディフューザーを置いています。殺菌効果もあり、集中してデスクワークをしていただけるような香りをチョイスし、香りでもリラックスできるように工夫しています。新型コロナウイルスの影響でテレビ会議が増えてWi-Fi系の設備面の需要も高まっていますが、当社はWi-Fiの施設工事も行っています。A-Pointの回線はNURO Bizを採用しており、ストレスなくテレビ会議もしていただけます。アクセスポイントは国内製のフルノシステムズのものを使っています。

座席は、ゆったりとお使いいただけるように、ノートパソコンと資料を広げてもゆとりをもって使えるものをチョイスしています。会議室は、世界最大のオフィス機器メーカーであるアメリカのスチールケース社のものを利用しています。下の部分が高くなっており、座っている人と立っている人の差を小さくして上から目線にならず、人間工学に基づいて活発にディスカッションが行えるように設計されています。他にもワイヤレスのプレゼンテーションシステム、プロジェクターなども無料でご利用いただけます。このようにショールームとしての機能を兼ねそなえたコワーキングスペースになっています。

本日利用した360度パノラマ撮影サービスのマターポートも、当社で既存の会議室様向けにご紹介しており、今回使用したものは私が撮影しました。このようなサービスも体感いただけるので、ご要望があればぜひご相談いただければと思います。


Power Appsで、A-Pointの受付システムを作成しました

ここからは、新谷からお話させていただきます。私は、普段は新技術の研究、具体的にはAI関連やHoloLens、ローコード開発などの研究を行っています。

現在話題になっているローコードのアプリ構築ツール・Microsoft Power Appsを使って、A-Pointの受付システムを作りました。

システム化したいけれど、コスト・期間の問題や面倒で手をかけられないことがよくあると思います。このような問題を解決してくれるかもしれないローコード開発についてお話します。

できる限りプログラムを書かずにアプリなどを開発する

ローコード開発とは、できる限りプログラムを書かずにアプリなどを開発する手法です。ローコードなので少しはコードを書きますが、エクセルの関数のIFやSUMをイメージするといいと思います。なぜ今ローコードが注目をされているのか、それはスピードです。ローコスト開発のメリットは、

  • すぐにアプリが作れる
  • 低コストでアプリが作れる
  • 要件を知っている人が自分でアプリを作れる

ということです。例えばアプリ制作を誰かに依頼する場合、でき上がったアプリが自分のイメージ通りではないことが多々あります。それを修正してもらうともちろんコストも時間もかかってしまいます。その点、要件を知っている人自身がアプリを作ることができれば、イメージとの乖離もなくなり修正も必要なくなると同時に、アプリ自体の満足度も高くなります。

ローコードは現在世界中で注目されており、日本でも経済産業省がPower Appsを使って行政のデジタル化に取り組んでいます。今回、そのPower Appsを使ってA-Pointの受付システムを作成しました。

実証実験を兼ねたローコード開発の受付システム

次にA-Pointの受付システムの紹介をさせていただきます。当社はアプリ開発のプロフェッショナルですが、実証実験を兼ねてあえてローコード開発にてA-Pointの受付システムをつくりました。

受付システムは、従業員向けのシステムでiPad を使用し、A-Pointに来店されたお客様のチェックイン・チェックアウトを行うものです。

今回使用したPower Appsとはマイクロソフトの提供しているPower Platformの中の一つのサービスです。Microsoft365 businessなどを契約していれば、無料で利用できます。契約していなければ有料プランもあります。
システム構成はとてもシンプルで、PC・タブレット・スマホなどの利用端末からインターネット経由でMicrosoft365にアクセスします。Microsoft365の認証を経た上で、Power Apps側の受付システムにアクセスし、そこからShare Point内のチェックインデータやカードデータにアクセスするように作られています。これは全てMicrosoft365内にあるので、必ずアクセスの度にMicrosoft365の認証が必要となります。

受付システムはチェックイン時とチェックアウト時に利用

チェックイン時のフローは、トップ画面でチェックインボタンを押して、チェックイン画面で会員カードのQRコードをスキャンします。Power Appsにはバーコードリーダーの機能もあります。その後、氏名と電話番号をご記入し、チェックインとなります。この時点で、Share Pointにチェックインデータが作成されます。

チェックアウト時のフローは、チェックアウトボタンを押して、QRコードをスキャンしチェックアウト画面に遷移します。そこで確定するとチェックアウト時間が登録されます。データはShare Pointにどんどん蓄積され、Share Pointにアクセスすることで、一覧で確認することができます。

Share PointのデータをTwitterに反映

Share Pointのデータを活用して現在の混雑状況をTwitterに反映させようということで、同じくMicrosoftの提供するローコード自動化ツール、Power Automateを使用しました。これはPower Platform内にある業務の自動化サービスで、Microsoft365を契約していれば無料で利用できます。無料ですが、1ユーザーあたり2000回/月の実行しかできないという制限があります。ただし会社で100ユーザー契約していれば、月20万回使えるということです。有料のプランもあります。

混雑状況の自動反映ですが、まずは実行のタイミングです。月~金の11時~18時、つまり平日の営業時間内の間に一時間に一回実行します。Share Pointのデータから、滞在中の人数を取得します。そして人数によって混雑状況を変更します。何人だったら「空いています」「混雑しています」「満席です」といった判断を行います。

そして、最後にツイート内容に設定します。設定した時間、混雑状況を埋め込んで自動でツイートします。ただし、この設定では祝日にもツイートされてしまうので、Googleカレンダーから祝日の状況を取得して、祝日だったらツイートしないというシステムにしています。

自動化は、「何があった時に」「何をする」というのが明確であれば、何とかなります。このアプリとTwitter反映機能は2日で開発しましたが、慣れてきたら1日でもできそうです。はじめからプログラムを組んでいたらそんなに早くはできないので、ローコード開発ツールをうまく活用することをおすすめします。

電話帳アプリ作成のデモンストレーション

5分以内で電話帳アプリを作成するデモをしてみたいと思います。まずは電話帳アプリを作成するためのデータの置き場所を決める必要があります。今回は、MicrosoftのOneDrive上に、Excelファイルを作成して、その中にデータを蓄積します。

「電話帳データ」というExcelファイルを作成しました。例えば、氏名、電話番号、メールアドレス、等をデータにし、それをテーブルにします。テーブルにはわかりやすいように名前を付けておきます。これで入れ物の作成は完成です。

次にアプリを作成します。Power Appsのホーム画面から、一から作ることもできますが、準備しておいたデータからアプリを作成することもできます。今回は先ほど作成したExcelファイルからアプリを作成してみます。Excelの中に作った電話帳というテーブルを選択すれば、自動でアプリを作ってくれます。

アプリ内には、電話帳を編集できる画面や、新規登録できる画面が作成されています。ただし、自動生成された画面では表示があまりきれいではないので、修正していきます。視覚的に簡単に編集することができます。これでアプリが完成です。

これで、新規登録もでき、検索機能や並び替え機能も実装されたアプリが完成しました。新規登録されたデータは、先ほど作成したExcelファイルの中に自動で入っていきます。
弊社では、このようなサポートも可能なので、お気軽にご相談ください。

本日はありがとうございました。


この記事は一般社団法人コワーキングスペース協会が主催するコワーキングスペース運営者勉強会でお話いただいた内容をもとに作成しております。

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