コラム

WeWork Japan合同会社が運営するコワーキングスペース「WeWork Daiwa晴海」について、WeWork Japan合同会社コミュニティアソシエイトの長野誠様にお話いただきました。(第62回コワーキングスペース運営者勉強会®)


アメリカのニューヨーク州に本社を置き、日本ではソフトバンググループとの合弁会社としてWeWork Japan合同会社を設立し、日本でも全国各地に展開しているWeWork(ウィーワーク) のコミュニティアソシエイトの長野誠様にお話いただきました。

日時: 2019年12月12日 (木曜日) 18時30分〜20時30分
会場:WeWork Daiwa晴海

Daiwa晴海ビルでコミュニティの担当として利用者様のサポートなどをさせていただいています、WeWork Daiwa晴海の長野と申します。よろしくお願いします。
本日は、①そもそもWeWorkとはどんな会社なのか(概要)、②スペースを作る時にどんなこだわりを持っているのか(なぜWeWorkなのか)③WeWorkに入る良さ(WeWorkがもたらす価値) この3点の大前提のお話をさせていただきます。

WeWork(ウィーワーク) のコミュニティアソシエイトの長野誠さん

WeWorkは2010年にニューヨークでスタートし、2018年に日本に来ました

まずは、WeWorkの概要について説明させていただきます。WeWorkは元々ニューヨークで2010年にスタートした会社で、日本に来たのは2018年です。WeWorkのロケーションは現在世界のおよそ30か国に存在しており、サブワークから大企業・個人事業主の方まで、世界中で多様な企業形態の方にご利用いただいています。

その中で、WeWork Daiwa晴海は、2019年12月2日にオープンしました。これから登記をして頑張っていくスタートアップの方から、皆さんがおそらく名前も知っている大企業様まで、多くの方がこの空間で働いています。

ミッションは「ただ生きるのではなく生きがいを感じられる世界をつくる」

私たちがこの事業をなぜやっているのかというグローバルに定義されたミッションは、「ただ生きるのではなく生きがいを感じられる世界をつくる」ということです。提供しているものはワークスペースがメインですが、ビジネス上のつながりや、利用者様の趣味、日常から生まれる人間関係などから、人生がトータルして生きがいを感じられるようなものになっていく、そんなきっかけの場を提供したいという想いで、WeWorkは事業を展開しています。

2年前から始まった日本における具体的なミッションは、「スタートアップから大企業まで誰もが自由にコラボレーションできる、新しい働き方を実現することで生きがいを感じられる世界をつくる」というものです。ベースの価値観はもちろん変わりませんが、今まで大企業と個人が交じり合わなかった日本において、その接点をWeWorkが作っていく、それによって新しい世界を作っていきましょう、というのが運営の根本的な目的です。

WeWork(ウィーワーク) のコミュニティアソシエイトの長野誠さんの登壇の様子

WeWorkのスピーディーな成長・拡大する拠点

WeWorkが現在グローバルでどのように成長しているのかについてお話しします。2018年から2019年にかけて、メンバーの数は17万5000名から58万1000名、拠点数は207拠点から600拠点、展開都市数は65都市から122都市、展開国数は20か国から32か国となっています。この結果から、スピーディーな成長が見ていただけると思います。

WeWork Japanのコミュニティも速いスピードで成長しており、メンバーの数は800名から1万7000名、拠点数は1拠点から26拠点、展開都市数は1都市から6都市、となっています。日本に来た当初は東京六本木にあるアークヒルズという拠点だけでしたが、現在は東京・大阪・福岡・名古屋・横浜・神戸の6都市に26拠点を構えて、1万7000名を超えるメンバーにご利用いただいています。日本全国、現在は東京より西側が中心ですが、今後も拠点はどんどん増えていく予定です。来年度の計画としても、増える予定が決まってきています。
※メンバー数・拠点数・展開都市数は2019年12月12日時点

多種多様なご利用企業様 大企業様からのニーズも

メンバーには、さまざまな規模の企業様や個人の方まで、多種多様な方がいらっしゃいます。多くの大企業様にもご利用いただいており、本社・ヘッドクオーターをそのまま使っていただいている企業様や、支社や営業拠点として使っていただいている企業様、マーケティングや新規事業・新しいコラボレーションを目的に一部のプロジェクトだけ入っていただいている企業様など、ご活用方法もさまざまです。

スタートした当初は、スタートアップや小規模の席数を必要とする事業所様が中心でしたが、そういう方々とのつながりを求める大企業様のニーズもだんだん増えてきています。現在はグローバルのメンバーの40%が大企業様です。WeWorkに入っていただいている大企業様の成長率は、通常のオフィス勤務に比べると2倍という結果が出ています。

WeWorkの提供している3つの価値

次に、WeWorkがどのような価値を提供しているのかについてお話します。WeWorkの提供している価値は基本的には3つあります。それは、「クリエイティブなワークスペース」「コミュニティエンゲージメント」「オールインクルーシブ」です。コワーキングスペースやシェアオフィスではなく、「オープンイノベーションプラットフォーム」を展開しています。

やすらぎと働きやすさの両立を実現

「クリエイティブなワークスペース」に関しては、測りづらい部分もあるかもしれません。インテリアのデザイナーやアーティストが社内にいますので、しっかりとコンセプトに基づいたデザインで内装施工なども行っています。例えば、日本の土地柄に合わせたデザインや素材を使うなど、メンバーが心地よく、それでいて働きやすい、やすらぎと働きやすさの両立を実現するレイアウトになっています。

WeWork Daiwa晴海の設備

メンバーのビジネス・成長をサポートする工夫を

「コミュニティエンゲージメント」に関しては、単純に働くという側面だけではなく、メンバー同士がつながったり、何かしら新しいビジネスのきっかけを得ていただくなど、WeWorkの事業目的を達成するための工夫を行っています。具体的には、イベントを開催したり、メンバーだけが使えるアプリなどを活用してつながりを作ったり、ビジネスのピッチをやって投資家さんを招いたり、といった内容で、メンバーのビジネス成長をサポートできるような工夫をコミュニティ担当が行っています。

メンバーだけが使えるアプリというのは、Facebookとまでは言えませんが、タイムライン・イベント情報・会議室の予約・ゲストへのメッセージングなど、メンバーが日々の仕事の中で必要となってくるツールや、他の企業様のことを知るために必要な機能を取りそろえています。それにより、クリエイティブな仕事や新しい仕事を生み出すことに集中するためのベースは整っています。

3つの料金プランでシンプルな料金体制

「オールインクルーシブ」というのは、基本的には価格に関することです。コワーキングスペースの中には、初期費用は低く設定し、入った後にオプション的に追加料金がかかってくるというスタイルもあると思います。WeWorkは基本的には初期費用と、月額の定額費用を払っていただければ、ビールやコーヒー、会議室のご利用まで、基本的には全て金額内に含まれています。

WeWorkには、メインで3つのプランがあります。①ホットデスクという、いわゆるフリーのコワーキングスペースをご利用いただくプラン、②専用デスクという、固定の席を持って自分の席で働くプラン、③プライベートオフィスとしてしっかりと鍵をかけられる空間で働くプランです。

WeWorkの7つのソリューション

WeWorkが具体的にどのようなことをしているのかについて、7つのソリューションに分けて順に説明をさせていただきます。

働き方改革促進

まず1つめは「働き方改革促進」に関してです。
WeWorkで働いている方々は、通常のオフィスで働いている方々より高いモチベーションで働けているという結果が出ています。
今までの働き方では実現できなかった、複数の拠点での場所にとらわれない働き方などを通して、モチベーションの継続にもつながっています。
利用者様へ実施したアンケート調査においても、働きやすさ・働き甲斐の違い・生産性の高さにおいて高い評価をいただいています。

オープンイノベーション促進

2つめの「オープンイノベーション促進」に関しては、最近はおそらく「eiicon(エイコン)」など、WEB上でオープンイノベーションのマッチングをしているプラットフォーム事業も伸びていますが、WeWorkはオフラインが強みだと考えています。実際に会えるメンバーが1万7000名いますので、イベントやコミュニティ担当がアナログに紹介する・アプリ上でつながっていただくことができます。単純に人間関係を作っていくという面でも、そこからビジネス上で何かしらのコラボレーションができるきっかけも、コミュニティ担当がしっかりと間に入ってサポートさせていただいています。イベントは平均週に3~4回開催しており、お酒を飲みながらのフランクなものからビジネスよりのものまで、多種多様です。

マーケティング活用

3つめは「マーケティング活用」に関してです。

イベント開催やコミュニケーションネットワークを通じて、自社商品サービスの認知拡大や体験促進ができます。現時点では、WeWorkのイベントは外部の方に無料で開催してません。基本的にはメンバーの中で、「プロモーションをしたい」「サービスを広げたい」など1つのテーマで他のメンバーと交流をしたい方に向けて、その機会を提供しています。

例えば、みなとみらいの拠点でシリアルバーを新しく作ったメンバーが、現在全拠点を回って商品のPRをされています。ケータリングが並んでいるような場所で実際にシリアルバーを食べていただいて、味のフィードバックをもらいながら製品の改善やプロモーション施策に生かしています。その方にお話を伺うと、「製品を作る部分と実際に販売をしていく部分というのは切り離されていることが多いですが、WeWorkを活用することで、実際に作って販売するまでの間に、拠点を回ってイベントを開催することができたので製品ができるタイミングと利用者様にリーチできるタイミングがコンパクトにまとめられてよかったです」というお声をいただきました。

採用活動の促進

4つめは「採用活動促進」についてです。 WeWork には採用活用を主な目的として活用いただいている企業様もたくさんいらっしゃいます。説明会や面接を狭い会議室でやるよりも、WeWorkの方が好印象ということもあります。それ以外に、全国規模の採用活動を行っている企業様には、毎回その土地の会議室を借りると金額の負担が大きい・場所を探す手間がかかる等の問題があります。その点、WeWorkをご活用いただければ、全国のWeWork拠点を回りながら面接をし、そのまま代表の方に遠隔で報告をするといった効率的な採用活動が実現します。もちろん採用活動だけでなく、採用人数が増えて拠点が必要になった場合も、WeWorkは追加のオフィスを常に提案できる・事業の規模の変化にすぐに対応することも可能です。

「柔軟なオフィス運営」「オフィス総額費用の削減」「迅速・簡単なオフィス開設移転」

最後にいつでも最適なオフィスを提案できるという点で3つご説明します。
「柔軟なオフィス運営が可能」「オフィスの総額費用を削減」「迅速・簡単なオフィス開設移転」に関しては、コワーキングスペース全体に言えることだと思います。WeWorkは、契約の内容にもよりますが、特別長期の契約をしない限り1か月単位の短期の利用が可能です。通常のオフィスの場合、人数の増減によって余る・逆にオーバーフローになることもありますが、WeWorkなら企業の成長に合わせて適切なスペースを提供できます。そのためにもWeWorkは多くの拠点を増やしスケールメリットを強めていきます。

また、WeWorkでは初期費用・原状回復・運営費用は不要で月額の利用料金のみで利用が可能です。さらに、料金の中には、飲食代・清掃・ごみの処理なども含まれており、追加料金もかかりません。

加えて、オフィスの開設や拡大に関しても、WeWorkが全てワンストップでサービス提供できるのも特徴です。コミュニケーション工数を減らしながら、スピーディーな事業規模に合わせて対応することが可能です。従来の賃貸契約では必要だった、色々なベンダーさんとのやり取り、例えばデスクなどの家具や備品関連などは全てWeWorkが提供できるので、オフィス開設・拡大が格段に容易になります。

WeWork Daiwa晴海の施設ツアーの様子

「3つの価値」「7つのソリューション」を軸にメンバー様に合わせた対応を

ここまでお話してきたように、WeWorkにはベースになる3つの価値、それに基づいた7つのソリューションがあります。
各拠点でのメンバー同士をつなげるための施策やお困りごとへの対応は、それぞれのメンバーに応じて個別に対応している部分が多くなっています。

WeWorkはまだ日本に来て2年の新しい会社です。これから、他のコワーキングスペースさんの事例も参考にさせていただきながら、どんどん成長していければと考えています。

本日は、ありがとうございました。

第62回コワーキングスペース運営者勉強会™の懇親会の様子

この記事は一般社団法人コワーキングスペース協会が主催するコワーキングスペース運営者勉強会でお話いただいた内容をもとに作成しております。

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